1994 Fiscal Year Annual Research Report
合金薄膜中の吸蔵水素の挙動とその構造並びに表面物性に関する研究
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05452274
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 一英 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (00024232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 正明 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (30024342)
吉成 修 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (10134040)
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Keywords | 合金薄膜 / 多層膜 / 水素 / アモルファス合金 / 原子構造 / X線回折 / 表面分析 / 相互拡散 |
Research Abstract |
本科研費により超高真空蒸着装置を設計製作した。これはクライオポンプと4元電子ビーム蒸着源により,活性な金属の合金薄膜及び多層薄膜を作製するもので,初期の設計性能を有する装置を完成することができた。この蒸着装置と現有のイオンビームスパッター装置を用いて,種々の金属薄膜及び多層膜を作製し,それらの構造と物性を研究した。また薄膜中の水素の挙動についても調べた。 1.Ni/Ti系及びPd/Ti系2層膜及び多層膜の研究 これらの系は水素吸蔵合金の主要成分を含んでいるが,その構造安定性や原子拡散挙動の研究は実用的にも重要である。薄膜X線回折とオージェ分光による深さ方向分析により,焼鈍に伴う濃度変調構造の変化を解析して,成分元素の相互拡散係数を求め,その温度依存性を決定した。また両系とも相互拡散の結果,界面部分からアモルファス化が起こり,膜全体が均質なアモルファス相に構造変化することを見いだした。このプロセスを断面透過電顕観察によっても確認し,構造変化の自由エネルギー的検討も行った。 2.V及びCr薄膜の弾性率と内部摩擦の研究 BCC金属薄膜中の格子欠陥の挙動や表面状態を調べるため,純Vと純Cr薄膜の弾性率と内部摩擦の温度依存性を測定した。純Vでは固溶酸素による緩和型内部摩擦ピークが観察され,また純Crではネ-ル点での磁気変態による弾性率効果が観察された。これらの現象をバルク結晶のそれと対比して解析した。 3.Pd-Si系アモルファス合金薄膜における金属-非金属遷移の研究 組成を大きく変化させたPd-Siアモルファス合金薄膜を作製し,その原子構造,電子状態,電気抵抗の温度依存性を調べ,金属-非金属遷移の機構について研究した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 田中一英: "アモルファス合金の水素吸蔵とその物性" 日本金属学会報. 34. 134-140 (1995)
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[Publications] Osamu Yosinari: "Internal friction and elastic moduli of V and Cr films" Journal of Alloys and Compounds. 211/212. 434-437 (1994)
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[Publications] S.M.Tadayyon: "Interdiffusion in amorphous Ni_<65>Ti_<35>/Ni_<35>Ti_<65>bilayer film studied by AES" Materials Science and Engineering. A179/180. 337-340 (1994)
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[Publications] S.M.Tadayyon: "Solid-state amorphization in Pd/Ti multilayered films during sputter deposition and postdeposition annealing" Japanese Journal of Applied Physics. 33. 4697-4702 (1994)
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[Publications] S.M.Tadayyon: "Interdiffusion in Pd/Ti bilayer films studied by Auger electron depth profiling" Japanese Journal of Applied Physics. 32. 3928-3932 (1993)
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[Publications] Yuichi Hayashi: "Structure and thermal stability of Nd-Ni-B amorphous" Materials Transactions,JIM. 35. 771-776 (1994)