1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05452382
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
毛利 明博 京都大学, 総合人間学部, 教授 (10025926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川瀬 洋一 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (60027448)
田中 仁 京都大学, 総合人間学部, 助手 (90183863)
道下 敏則 京都大学, 総合人間学部, 助手 (00166050)
湯山 哲守 京都大学, 総合人間学部, 助手 (90026815)
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Keywords | 陽電子プラズマ / 非中性プラズマ / 反物質プラズマ / 陽電子消滅 / LINAC / 貴ガス氷薄膜 / 剛体回転平衡 / 閉込め |
Research Abstract |
非中性陽電子プラズマの特性研究は、電子・陽電子混合の中性プラズマを調べるために必要な基本的な過程の一つである。また、陽電子プラズマは純粋の反物質プラズマでもある。実験的に、陽電子プラズマを調べるためには、まず、長時間閉じ込めることが必要である。陽電子の消滅を防ぐには、十分に温度の低いプラズマでなければならない。且つ、拡散による散逸を防ぐために、中性ガス分子が少ない高真空が要求される。また、閉じ込めた陽電子プラズマの不安定性が生じにくい外部電磁場配位が必要である。本年度では、上記の要請を満たす方法について、以下のような成果を得た。 (i)低温の陽電子を得るために、LINACを用いて発生した1-3KeV帯の陽電子ビームを減速する方法を実験的に試行した。約10kに冷やした金表面にXe,N2薄膜氷をつくり、後方散乱で減速する方法で、7eV以下のエネルギーに冷やすことが出来た。この方法は、大表面積の減速器として作動させることができる。減速効率は5%程度である。 (ii)LINACで発生する陽電子ビームはパルス的であるので、多パルスを蓄積するには特別の工夫がいる。閉じ込めとして軸対称の磁場と軸方向の静電ポテンシャル井戸を用いているが、進行波ポテンシャルによる押し込み・蓄積の方法を試みた。電子での予備テストでは、閉じ込め時間で決まるパルス数まで閉じ込め粒子数が増加する。陽電子では、消滅によって、高々1.7倍であった。この改善が必要である。 (iii)陽電子プラズマの安定な閉じ込めは、剛体回転状態の平衡が成立していなければならない。外部静電場配位に剛体回転を実現する双曲面ポテンシャルを用いたとき、実際の粒子閉じ込め時間が長くなることを、電子プラズマを用いて確認した。また、この配位のときには、従来より言われていた配位軸長増大による閉じ込め時間の短縮が生じないことも観測している。この配位を、来年度陽電子プラズマに適用する予定である。
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