1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05453009
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture & Technology |
Principal Investigator |
小倉 紀雄 東京農工大学, 農学部, 教授 (30015127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 尚弘 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助教授 (60174942)
牛久保 明邦 東京農工大学, 農学部, 助教授 (60078219)
上田 真吾 資源環境総合研究所, 大気圏環境保全部, 通産技官
高田 秀重 東京農工大学, 農学部, 助手 (70187970)
安倍 喜也 東京農工大学, 農学部, 教授 (20101040)
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Keywords | 石炭燃焼由来物質 / 硫酸イオン / 硝酸イオン / 多環芳香族炭化水素 / 硫黄安定同位体比 / 大気降下物 / 太平洋側 / 日本海側 |
Research Abstract |
石炭燃焼由来の汚染物質の長距離輸送を推定するため、内陸部の志賀高原、太平洋側の東京(府中市および八王子市)において大気降下物(降水と乾性降下物)の採取を月ごとに行い、硫酸イオンなど主要化学成分、多環芳香族炭化水素を測定した。東京農業大学(世田谷区)と併設農場・演習林において月ごとに大気降下物(降水と乾性降下物)を採取し、硫酸イオンなどの結果より地域特性を検討した。また硫酸イオンの起源を推定するために硫黄・酸素安定同位体比の測定法を検討し、太平洋側の試料にその手法を適用した。 府中市と八王子市における非海塩由来の硫酸イオンは全硫酸イオンの72-94%を占めた。非海塩由来の硫酸イオン降下量は3月と7-8月に大きな値を示した。非海塩由来の硫酸イオンの硫黄安定同位体比(δ^<34>S)は+3‰程度であったが、6-8月には-3‰前後の低い値が観測された。このような季節変動のパターンは日本海側でも認められている。しかし、太平洋側のδ^<34>S値は日本海側での値より2‰程度低かった。これは夏季に硫黄安定同位体比の低い硫酸イオンが太平洋側で降下するためであり、季節風の卓越する春季には同位体比の高い硫酸イオンが太平洋側にも降下していることが明らかになった。 多環芳香族炭化水素のなかで化石燃料の燃焼由来と考えられる9種類の月平均降下量(μg/m^2/月)は志賀高原で6.7、府中市で35.0、八王子市で35.6、川崎市で149と地域的変動が大きかった。フェナンスレンに対するメチルフェナスレンの比は0.59〜0.95であり、いずれの地域でも燃焼温度の高い工場など固定発生源からの影響を受けていると考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 小倉紀雄: "酸性雨の陸水生態系への影響" 気象研究ノート. 182号. 151-163 (1994)
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[Publications] 徐暁蕾・小倉紀雄: "峨眉山における大気酸性降下物の特徴と成因" 水処理技術. 35. 29-34 (1994)
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[Publications] 小倉紀雄: "Impacts and control strategies of acid deposition on terrestrial ecosystems in Chongqing area,China" Proc.China-Japan Joint Symp.126-130 (1995)
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[Publications] 小倉紀雄: "地球環境変動の科学II かけがえのない地球を守るために(分担執筆)" クバプロ, 202 (1994)