1994 Fiscal Year Annual Research Report
非水系有機溶剤混合物分離のための多孔性セラミック分離膜の開発
Project/Area Number |
05453102
|
Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
浅枝 正司 広島大学, 工学部, 教授 (40026224)
|
Keywords | 多孔性セラミック膜 / 膜分離 / 有機溶剤混合物 / 浸透気化法 / 蒸気透過法 |
Research Abstract |
前年度までに、多孔性シリカ及びシリカ-ジルコニア分離膜の製膜法を開発したが、本年度は製膜法の改良を行なうために、コロイド調製条件、コーティング条件、焼成条件等について詳細な検討を行なうと共に、製膜した多孔性セラミック膜を用いて、非水系有機溶剤混合物の透過分離を蒸気透過法と浸透気化法によって実験的に検討した。また、浸透気化法による透過分離機構の詳細な理論的検討を行なった。これらの研究で得られた主な結果は、(1)コロイドゾルの調整において、コロイドゾルの前駆体であるポリマーゾルの調製条件が最終的なコロイドゾルの性状に大きな影響を与える。しかし、コロイドゾル生成過程における濃度が同一であればコロイドの平均粒子径は殆ど同じとなる。加水分解、縮・重合時の水/アルコキシドの割合を大きくすることによって至密なコロイド粒子ができ、コーティング温度(140-200℃)、焼成温度(140-200-℃)、焼成時間(10分以上)に殆ど関係なく、よりシャープな細孔分布が得られ、従って、比較的大きな孔(ピンホール)が減少する。(2)浸透気化法(PV法)と蒸気透過法(VP法)による分離において、その透過特性の相違は気液平衡特性と関係し、アルコール/ベンゼン系混合物においてはPV法による分離が極めて有効である。(3)作製した多孔性膜の細孔モデルを提案し、透過特性を良く表現出来ることを確認した。 本研究で開発した方法にて作製したシリカ-ジルコニア膜は極めて大きい透過速度をもち、分離係数も比較的大きい。また、有機溶剤中に溶存する微量のアルカリおよび水分に対しても安定である事を考えると実用性の高い多孔性セラミック分離膜となり得る。
|