1995 Fiscal Year Annual Research Report
嫌気微生物エコシステムによる高濃度ビタミンB12生産法の確立
Project/Area Number |
05453112
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西尾 尚道 広島大学, 工学部, 教授 (30034383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿薗 俊英 広島大学, 工学部, 助手 (00214255)
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Keywords | ビタミンB_<12>生産 / 共生培養 / 有機酸除去 / Acetobacterium sp. / Methanothrix sp. / 固定床 / 連続培養 |
Research Abstract |
ビタミンB_<12>の工業生産はプロピオン酸菌を糖質基質で培養し、菌体内に蓄積したB_<12>を抽出精製している。しかし、生成酢酸およびプロピオン酸の増殖阻害により高濃度菌体培養系の確立が困難である。一方、偏性嫌気性酢酸生成菌(Acetobacterium sp.)はメタノール/炭酸ガスから酢酸を生成する。本菌のB_<12>含量は、プロピオン酸菌の10倍ほど高いが生成酢酸により同様の増殖阻害を受ける。そこで、本研究ではこれら生成有機酸を資化しうる嫌気性微生物とのエコシステムを構築することにより高濃度B_<12>生産法の開発を図った。本年度(最終年度)の研究成果を以下に概述する。 Acetobacterium sp.とメタン生成細菌(Methanothrix sp.)との共生培養系の構築 1.Acetobacteriumの培養法の改善 Acetobacterium sp.は炭酸ガスを資化できるがその供給速度が律速となる。そこで、炭酸ガス以外のC_1供給源について検討した結果、メタノール/蟻酸が有効であることを見い出した。蟻酸は供給が容易であり、且つ、蟻酸を用いた場合若干のB_<12>含量が増加する利点を有していた。また、蟻酸は蟻酸脱水素酵素系により炭酸ガスへ変換される。 2.Acetobacterium sp.とMethanothrix sp.との共生培養系の構築とその有効性 両菌の比増殖速度は10倍ほど異なるため通常の混合培養は不可能である。そこで、酢酸阻害の除去法としてMethanothrixを充分付着させた固体床リアクター(担体:セラミック・ポリプロピレン混成体)にAcetobacteriumの連続培養を連結し液循環した。その結果、メタノール/炭酸ガス系の場合、Acetobacteriumの連続培養の希釈率(D)0.02h^<-1>で酢酸濃度をほぼゼロに維持できた。さらに、1.の結果と併せてメタノール/蟻酸系について実施し、Acetobacteriumの最大比増殖速度に対応するD=0.15h^<-1>で連続培養が可能となり、メタノール8g/1で菌体の生産性を3.6g/1.dまで増加できた。なお、回分培養では0.14g/1.dであった。この菌体生産性は20mgB_<12>/1.dに対応する。従って、本共生培養系はB_<12>生産系として非常に有効であると結論できる。
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Research Products
(1 results)