1994 Fiscal Year Annual Research Report
塩分ストレス下において働く根のNa^+分離排除システムの構造機能学的解析
Project/Area Number |
05454048
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Research Institution | Okayama Univ. |
Principal Investigator |
土屋 幹夫 岡山大学, 農学部, 助教授 (80127571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 儀彦 岡山大学, 農学部, 助手 (80263622)
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Keywords | イオン透過性 / イオン排除 / イネ科植物 / ストレス・リラクゼーション / セルロース / 耐塩性 / 根 / リグニン |
Research Abstract |
本年度は、ジュズダマ、キビ、シバ、オヒシバおよびムギを対象に、加圧装置を用いて根の断面全体あるいは中心柱部分から出液を得た場合のイオン排除率を測定し、前年度測定したイネ、トウモロコシ、ソルガムと比較した。イネについては、細胞壁化学組成の品種間差異と排除率の関係、および低濃度NaC1前処理や珪酸処理による細胞壁化学組成の変化と排除率の関係を調査した。さらに、塩ストレス下における根の反応特性、すなわち根のイオン分離能力等の差異を検出する方法の確立を目指して、塩溶液中における根の微細な変化を迅速かつ簡易に検出する簡単な装置を制作した。本装置では、支持台に固定したノギスの可動部分の一端に取り付けた根を、天秤上に置いたサンプル瓶中の塩溶液に挿入して、若干湾曲する程度に一定の力で押し付け、その後の応力の経時的減少(ストレス・リラクゼーション・カーブ)を測定した。 その結果、根のイオン排除率は、ムギで最も高く、次いで、キビ、トウモロコシ、ソルガムで高く、そしてジュズダマ、イネでは比較的低いことが明らかになった。また、シバおよびオヒシバでは、さらに排除率が低いことが窺われた。また、細胞壁組成との関係の解析からは、リグニンおよびセルロース含量が高いことが、イオン排除効率の向上に関連していることがほぼ明確になった。また、水和半径の異なるイオンを用い、塩溶液の水ポテンシャルを揃えて測定したストレス・リラクゼーション・カーブの結果からは、この方法で根のイオン透過性を簡便に評価できることが概ね明確になった。しかし、イオン排除機能と内部形態との関係については、外皮および内皮細胞層の重要性を指摘することはできたが、イオン排除効率と定量的関係にある形態的特徴を十分に明確にするには至っておらず、さらに調査を継続している。
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