1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05454079
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 雅一 東京大学, 農学部, 助教授 (10144346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶 幹男 東京大学, 農学部(林), 助教授 (00152645)
執印 康裕 東京大学, 農学部, 助手 (60221305)
芝野 博文 東京大学, 農学部(林), 講師 (00143412)
太田 猛彦 東京大学, 農学部, 教授 (50134797)
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Keywords | 樹冠遮断量 / 樹冠通過雨量 / 蒸発散量 / ブナ林 / カラマツ林 / 樹冠付着水分量 |
Research Abstract |
森林流域の水循環で重要な成分である樹冠遮断量に与える樹種及び地形の影響を評価するための計測を、東京大学秩父林のブナ・イヌブナ林、カラマツ林、シオジ林で行った。 ブナ・イヌブナ林とカラマツ林は、谷からの比高が400mの標高1200mの広い尾根部にあり、シオジ林は谷部にある。測定プロットはそれぞれ15m×15mで、林内の各10地点の林内雨量(樹冠通過雨量)とプロット内の全立木(ブナ・イヌブナ林:本、カラマツ林:本、シオジ林:本)の樹幹流下量を、プロット周辺の樹木の伐開地の林外雨量とともに測定した。ブナ・イヌブナ林とカラマツ林は1993年6月から、シオジ林は1993年7月から測定を開始し、1993年11月まで観測を行った。 ブナ・イヌブナ林、カラマツ林、シオジ林の3プロットで同時に観測された期間の樹冠通過雨量と樹幹流下量の合計(林床到達雨量)は、いずれもほぼ等しく、林外雨量と林床到達雨量の差として求められる、樹冠遮断量は3プロットともほぼ同量となる結果が得られた。また自記計測のデータを用いて、樹冠通過雨量と樹幹流下量、樹冠遮断量の毎時データを算定し、樹冠が濡れているときの平均蒸発強度と樹冠に付着する水分量をパラメータとする樹冠遮断モデルを用いて、これらを再現した。この結果、(1)樹冠に付着した水分が樹冠通過雨量と樹幹流下量に分配される分配率は、3つの林分で大きく異なり、樹幹流下量にブナ・イヌブナ林で12%、シオジ林で10%が回るのに対して、カラマツ林は2%であること。(2)樹冠に付着する水分は、3つの林分とも0.3mm程度であること。(3)樹冠が濡れているときの平均蒸発強度は3つの林分とも0.14〜0.16mm/hrであること、が求められた。次年度は、樹冠遮断量観測を継続するとともに、平均蒸発強度と気象条件の関係を求め、より合理的なモデル構築を進める。
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