1993 Fiscal Year Annual Research Report
異なる森林タイプが河川水の量と質の形成に与える影響の研究
Project/Area Number |
05454081
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
塚本 良則 東京農工大学, 農学部, 教授 (60014924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 整司 東京農工大学, 農学部, 助手 (30212921)
生原 喜久雄 東京農工大学, 農学部, 教授 (00014960)
中村 浩之 東京農工大学, 農学部, 教授 (90242239)
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Keywords | 森林タイプ / 河川水 / 流出量 / 水質 / 窒素の循環 / 林分構造 |
Research Abstract |
1)試験流域の設定 多摩丘陵内の2次林と群馬県足尾山地の人工林に試験流域を定め、流量観測や土壌水分量、地下水位といった水文観測(水の量に関わる項目)と渓流水質、土壌水・地下水の水質といった水の質に関する項目の観測を開始した。 2)観測内容 多摩丘陵内の試験流域においては、まず森林への水のインプットとなる部分である樹冠通過雨、樹冠流、樹冠遮断等について、量・質の両面における観測を行った。特に森林流域の水収支においては、降雨中の樹冠遮断蒸発現象の重要性が強調されながらもエネルギー収支的に説明がつかないことが従来より指摘されていたが、この点につき重点的に測定を行った。この結果、降雨中においては必ずしも樹冠面で遮断蒸発が起きているわけではなく、より上空まで樹冠による雨滴のはねかえりの結果として微細な飛沫として輸送され、そこで蒸発している可能性が指摘された。 また、流域の水質形成過程の一貫として、降雨時における渓流水の硝酸イオン濃度の形成過程を土壌水のイオン濃度の変化を経時的に観測し、土壌水の移動過程を踏まえた上で検討した。硝酸イオンの流域よりの流出量については、森林土壌の水質浄化機能としてもっとも注目される点であるが、これらが土壌水の流動過程、特に降雨時における地下水位の上昇、土壌表層の大きな透水係数等により説明が可能である点が示唆された。 足尾山地の人工林においては、土壌中の窒素の無機化過程につき、反応速度論的な解析を行った。 また様々な量的な解析の基礎となる林分構造について基礎的な調査解析を行った。 3)解析・シミュレーション 上記の観測内容をもとに、森林の水循環過程における量・質の両面の過程を解析可能なモデルの構築に必要な諸過程の把握を行った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 大類清和,生原喜久雄,相場芳憲: "森林集水域での土壌から渓流への水質変化" 日本林学会誌. 75. 389-397 (1993)
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[Publications] 戸田浩人,生原喜久雄: "森林土壌中における窒素無機化の反応速度論的解析(I)" 日本林学会誌.
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[Publications] 中村雅志,石橋整司: "複層林化されてまもないヒノキ二般林の林分構造と施業実行上の問題点" 日本林学会論文集. 104. 261-264 (1993)