1994 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー疾患、特に喘息及び花粉症有症率の地域差及び発症要因に関する研究
Project/Area Number |
05454230
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
常俊 義三 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (40108585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前原 正法 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (50244215)
中村 洋之 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (50217890)
田中 隆信 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (90163534)
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Keywords | 喘息 / 鼻アレルギー / 疫学 / 学童 / 大気汚染 / 杉花粉 / 非特異的IgE / 特異的IgE(杉) |
Research Abstract |
本研究は同一対象校について経年的観察を行い,鼻アレルギー症状有症率だけでなく,新規発症率を明らかにし,有症率および新規発症率を左右する因子を明らかにすことを目的とするため,昨年度と同様に,大気汚染濃度などの環境条件が異なる大阪市内3校,大阪府1校,宮崎県国富町内6校の児童4,161名を対象にアレルギー症状・呼吸器症状の調査(調査員による),呼吸機能検査,および保護者の承諾が得られた児童については血清中の杉花粉特異的IgE抗体(キャップRAST法による)検査を行った,また昨年度の調査結果で喘息の有症率はNO_2濃度が最も高い大阪市内児童で最も高く,NO_2濃度が最も低い国富町で最も低かったが,鼻アレルギー症状の有症率および杉花粉特異的IgE抗体陽性率はNO_2濃度が中等度の大阪府下児童で高く,NO_2濃度が高い大阪市内の学童で最も低くなったことから,平成6年1月から5月にかけて大阪市内,大阪府下,国富町で杉花粉の飛散量の測定を行った。 調査票の回収率は91.1%,杉花粉特異的IgE抗体の検査率は77.6%であった。 調査票による鼻アレルギー症状有症率は大阪市内で26.8%,大阪府下で31.0%,国富で25.3%であった,杉花粉特異的抗体陽性者に限定すると,有症率は市内で7.6%,府下で11.6%,国富町で7.4%であり,NO_2濃度(年平均値市内:34ppb,府下:18ppb,国富10ppb)との間に関連はみられず,杉花粉の飛散量(1日平均値市内:134.3,府下:717.0,国富:475.6)が多い地区で有症率が高率にになることが明らかにされた。以上のように本年度の調査では杉花粉による鼻アレルギー症状有症率の多寡は杉花粉量により左右され,大気汚染等の因子はそれを修飾する因子であることを示唆する結果を得た。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 田中隆信,他: "学童の花粉症状に関する研究" 日本公衆衛生雑誌. 40. 1327 (1993)
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[Publications] 田中隆信,他: "小学校学童の花粉症状に関する報告" 日本公衆衛生雑誌. 41. 1281 (1994)