Research Abstract |
1.雄の高血圧ラット104匹を12群に分け,0,0.3,1,3,10,30ppmの塩化鉛,また,HGM-CoA還元酵素阻害剤であるPravastatinを0または270ppm含む合成飼料を一日に15g投与し,12週間にわたり血圧を測定した。収縮期血圧は鉛低濃度群で上昇し,高濃度群で低下した。また,Pravastatin投与実験群の成績から,鉛曝露による血圧の上昇は生体内のLipoprotein代謝異常によって起こると考えられた。 2.雄の正常血圧ラットWistar-Kyoto40匹を5群に分け,0,1,3,10,30ppmの塩化第二水銀を含む合成飼料を一日に15g,21週間投与し,経時的に収縮期血圧を測定したが,水銀投与によって収縮期血圧は上昇しなかった。12週目に屠殺し,臓器重量測定,血液ならびに様の生化学的検査を行ったところ,心重量,大動脈重量の増加はみられたが血圧の上昇によるものではなく,動脈硬化の確証も得られなかった。 3.雄の高血圧ラットSHR90匹に0,0.3,1,3,10,30ppmの塩化第二水銀を含む合成飼料を一日に15g,12週間投与したところ,水銀を投与した全群の収縮期血圧が上昇した。このことから,高血圧素因があると水銀による血圧上昇が箸しいこと,また,臓器,血液,尿の多角的検査結果から水銀曝露によって起こった粥状動脈硬化を介して収縮期血圧が上昇すると考えられた。
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