1995 Fiscal Year Annual Research Report
P糖蛋白陽性の多剤耐性癌に対するアンチセンスP糖蛋白オリゴヌクレオチドの効果
Project/Area Number |
05454287
|
Research Institution | MIE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
櫻井 實 三重大学, 医学部, 教授 (40024707)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 英一 三重大学, 医学部・附属病院, 助教授 (50211008)
井戸 正流 三重大学, 医学部, 講師 (90167263)
|
Keywords | 多剤耐性癌 / P糖蛋白 / アンチセンス |
Research Abstract |
悪性腫瘍の多剤耐性化に伴って過剰発現するP糖蛋白(P-glyocoprotein)は細胞膜に存在して抗癌剤の排出を行う糖蛋白質で、薬剤耐性遺伝子mdrlによってコードされている。この薬剤耐性を克服するために、in vitroおよびin vivoの実験を行った。 (1)in vitro実験:まずmdrlアンチセンスDNAオリゴマーをS基で修飾して合成した。in vitroでmdrl antisense phosphorothioate oligomerをP糖蛋白陽性の多剤耐性マウス白血病細胞に導入すると、P糖蛋白合成が抑制されることをmRNA、蛋白レベルで確認した。すなわち、多剤耐性白血病細胞としてAdriamycin(ADR)で誘導したP388/ADR、コントロールとして抗癌剤に高い感受性のある親株P388/pを使用し、アンチセンスオリゴマーをP388/ADRに導入すると、アンチセンスDNAの用量依存性にP糖蛋白特異的モノクローナル抗体C219の反応性が低下した。つまりP糖蛋白の発現が抑制された。また、多剤耐性遺伝子mdrlのmRNA発現をRT-PCR法で検討したところ、アンチセンスDNAの用量依存性にP糖蛋白のmRNA発現が抑制された。さらにP388/ADRの抗癌剤に対する感受性は薬剤感受性親株と同程度までに回復していることをMTT法で確認した。 (2)in vitro実験:これをBDF1マウスに腹腔内投与し、2日後にDoxorubicinを腹腔内投与すると、antisenseの投与量依存性に有意に生存期間が延長した。 以上の結果を日本小児血液学会(1993,1994,1995年)、日本癌学会(1996年)、米国血液学会(1993,1994年)で報告した。
|
Research Products
(1 results)