1993 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺肥大症の発生病理ならびに薬物的治療に関する基礎的研究
Project/Area Number |
05454431
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山中 英寿 群馬大学, 医学部, 教授 (70110393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深堀 能立 群馬大学, 医学部, 助手 (90199167)
湯浅 久子 群馬大学, 医学部, 助手 (50240148)
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Keywords | 前立腺肥大症 / 精嚢間質 / エストロジェン / コラーゲン / 好酸球浸潤 / TGF-β / 動物モデル / イメージアナライザー |
Research Abstract |
前立腺肥大症は組識学的には腺上皮性成分である腺腫と間質性成分である線維・筋腫からなる混合腫瘍であり、多くはその70%以上を間質性成分が占める。現在、臨床で使われている抗男性ホルモン製剤は腺上皮性成分に有効性を発揮し萎縮させるが、間質性成分に対しては無効であり、間質性成分を萎縮させる薬剤の新規開発が切望されている。そのためには、ヒト前立腺肥大症と類似の間質増殖の動物モデルを作成し、間質増殖のメカニズムについての基礎的研究が不可欠である。本年度は、1)動物モデルを用いての間質増殖メカニズムの解析と、2)ヒト前立腺肥大症間質培養細胞のコラーゲン産生の解析をおこなった。 1)動物モデルを用いての雄性副性器間質増殖メカニズムの解明:幼若(3週令)にて去勢されたラットにエストロジェンを投与すると精嚢に著しい間質増殖がおこる。この組織像がヒト前立腺肥大症の組織像と非常に類似していることをわれわれは報告した(湯浅ら、1993)。この間質増殖メカニズムを詳細に研究することによって、前立腺肥大症の発症病理の糸口を得ることが可能であると思われる。今年度においては、エストロジェン投与後の間質組織像の経時的変化をイメージアナライザーを用いて定量化解析を行った。その結果、コラーゲンと平滑筋の増加が間質増殖の主因であった。さらに、興味あることには、エストロジェン投与によるコラーゲンおよび平滑筋の増加と呼応して、無数の好酸球の間質内浸潤がみとめられた、エストロジェン遊走性好酸球はコラーゲン繊維内に埋まるようにして存在し、コラーゲン産生との関係が強く示唆された(小野・湯浅ら、1994)2)ヒト前立腺大症間質培養細胞のコラーゲン産生の解析:ヒト前立腺肥大組織由来の間質細胞をTGF-β添加無血清培地にて3日間培養し、その培養上清中のプロコラーゲンC末端ペプチド産生量をenzyme assay法により測定した。TGF-β 1ng/mlおよび10ng/ml添加で、プロコーラゲンC末端ペプチド産生は対象に比較して2.3倍、2.2倍に増加していた。このことは前立腺肥大症の間質コラーゲンの増生にTGF-βが重要な役割をはたしていることを示唆していた(深堀ら、1994)。
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Research Products
(2 results)