1994 Fiscal Year Annual Research Report
小児腎病変における血漿中レニン動態の分子生物学的,病理組織学的および臨床的研究
Project/Area Number |
05454481
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横森 欣司 東京大学, 医学部(病), 助教授 (20251291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上井 義之 東京大学, 医学部(病), 助手
土田 嘉昭 東京大学, 医学部(病), 教授 (80010164)
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Keywords | ウィルムス腫瘍 / 異形成腎 / 抗レニン抗体 |
Research Abstract |
1.抗ヒトレニン抗体による小児腎病変組織化学染色 抗ヒトレニン抗体4種類のうち1種類のみがホルマリン固定組織でも染色可能であった。この抗体を用いて、小児腎癌および異形成腎の組織でのレニン産生細胞の局在を酵素組織化学染色法を用いて検討した。 (1)小児腎癌におけるレニン産生能 ウィルムス腫瘍9例、先天性間葉芽腎腫4例、腎明細胞肉腫3例の手術摘出組織につき検討した。 a)ウィルムス腫瘍:高レニン血症を伴った1例では、その腫瘍組織の大部分を占める糸球体様上皮構造の傍糸球体装置に相当する部分に強いレニン局在を認め、腫瘍自体のレニン産生能が示された。他の8例中でも、2例に限局してみられた糸球体様構造がレニン陽性を示し、本腫瘍組織中の糸球体様上皮構造でレニンが産生され、高血圧を呈するかどうかはその上皮構造の全腫瘍に占める割合に依ると結論された。 b)先天性間葉芽腎腫:高レニン血症3例ではいずれも腫瘍組織にはレニン局在を認めず、腫瘍に包囲された遺残腎組織中の傍糸球体装置がレニン強陽性に染った。残り1例では腫瘍も遺残腎もレニン陰性であった。したがって、本腫瘍におけるレニン産生は腫瘍圧迫による二次性(腎血管性)のものと判断した。 c)腎明細胞肉腫:3例とも腫瘍組織はレニン陰性であったが、高レニン血症の1例では腫瘍に圧排された遺残腎の傍糸球体装置に強いレニン局在を示し、やはり腎動脈圧排に起因する二次性のものと思われた。 (2)異形成腎におけるレニン産生能 6例中、高レニン血症合併2例を含む計4例の摘出組織で異形成組織中に散在する腎糸球体の傍糸球体装置へのレニン局在が示され、栄養動脈の低形成による腎血管性高レニン血症が本態だと考えれらた。 2.抗ヒトレニン・モノクローナル抗体の作製継続 本年度に得られた抗体2種はいずれも前年度の4種同様に総レニン(活性型と不活性型の両方)を捉えるものであった。活性型あるいは不活性型どちらか一方にのみ反応する抗体の作製努力を継続中である。
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