1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05555108
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中鉢 憲賢 東北大学, 工学部, 教授 (20006224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 康人 横河メディカルシステム(株), 研究開発部, 課長
鈴木 英男 (株)小野測器, 音響技術研究所, 所長
小岩 喜郎 東北大学, 医学部, 助教授 (80091685)
田中 元直 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (40006094)
金井 浩 東北大学, 工学部, 助教授 (10185895)
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Keywords | 動脈硬化 / 非侵襲的診断 / 脈波伝搬特性 / 弾性特性 / 微小振動計測 / 超音波ドプラ / スペクトル解析 / 早期診断 |
Research Abstract |
高齢化社会の到来とともに、心筋梗塞等の循環器疾患や、脳梗塞等の脳疾患の増加が大問題になりつつあるが、その主因の動脈硬化の早期無症候性段階の診断技術や、個人個人の硬化経時変化の計測技術の開発が、早期治療や循環器疾患の予防制圧に必要不可欠である。本研究では、新しい超音波計測・診断法のための装置を作製し、机上では得られない問題点の検討と、実際の多くの患者に関する適用・評価を行って、大動脈上の微小振動の計測法とその振動の詳細な解析法を開発し、従来にはない全く新しい循環器系の定量的精密計測・早期診断法として確立させると共に、各種心動脈疾患に関する新しい診断・治療の分野、組織診断に関する新しい生命科学の領域を開拓にする。そのため、本年度は次の研究を行った。 1.新しい超音波計測装置プロトタイプを作製し、心臓壁も含め大動脈壁上の数十μmの振幅の微小振動の高精度計測を可能とした。さらに、水槽実験・人体に対する実験からその有効性を検討し、十分な精度が得られることを示した。この装置では、患者のデータを計測後、直ちに処理結果を得ることができる。 2.動脈壁の弾性特性を評価するための信号解析法を開発し、動脈壁上の離れた2点上で同時に計測された微小振動の計測結果に対し適用して、心周期各相ごとの壁における波動伝搬特性や弾性特性が得られるよう改良した。 3.動脈上の脈波伝搬特性を模擬したモデルを水槽内に構成し、水槽実験による壁の波動伝搬特性計測の精度評価を行った。これによって、1.と2.で作製した超音波計測専用装置に関する処理細部にわたる検討を行い、満足できる結果が得られることを示した。同時に、水槽内モデル上で、内圧や壁材料の弾性的特性を変化させた場合の波動伝搬特性などの違いを基礎的に評価した。以上、次年度に本装置を多くの患者へ適用できる準備が整った。
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[Publications] K.Kawabe,H.Kanai,N.Chubachi: "“Accuracy Evaluation in Ultrasonic-Doppler-Based Measurement of Small Vibrations for Acoustical Diagnosis of the Aortic Wall"" Electronics Letters. 29. 915-916 (1993)
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[Publications] 金井浩,中鉢憲賢: "“低いSN比の下での離散的フーリエ変換による周波数分析における偏り誤差と分散の理論解析"" 日本音響学会誌. 49. 763-774 (1993)
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[Publications] H.Kanai,H.Satoh,K.Hirose,N.Chubachi: "“A New Method for Measuring Small Local Vibrations in the Heart Using Ultrasound"" IEEE Transactions on Biomedical Engineering.40. 1233-1242 (1993)
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[Publications] 佐藤宏明,金井浩,中鉢憲賢: "“ダイナミックプログラミングを用いた心臓壁面運動のトラッキングによる心臓壁の微小な振動計測"" 日本音響学会誌. 50. 11-21 (1994)
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[Publications] 朴茂薫,金井浩,中鉢憲賢: "“超音波ドプラ法による加振時の骨の曲げ振動伝搬速度の計測"" 日本音響学会誌. 50. 103-109 (1994)
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[Publications] H.Kanai,T.Hori,N.Chubachi,T.Ono: "“Delayed Block Transfer Function and its Application to Accurate Estimation of Transfer Function"" IEEE Transactions on Signal Processing. 41(発表予定). (1994)