1994 Fiscal Year Annual Research Report
電気化学的な塩化物除去による塩害コンクリート構造物の補修工法に関する研究
Project/Area Number |
05555123
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 学 京都大学, 工学部, 教授 (30031074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 宣章 立命館大学, 理工学部, 助手 (50154753)
尼崎 省二 立命館大学, 理工学部, 教授 (60066743)
矢村 潔 摂南大学, 工学部, 教授 (30026257)
小林 和夫 大阪工業大学, 工学部, 教授 (10021586)
宮川 豊章 京都大学, 工学部, 助教授 (80093318)
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Keywords | 電気化学的塩化物除去 / 塩害 / コンクリート構造物 / 塩化物イオン / アルカリ金属イオン / 付着 / 鉄筋 / 最大付着応力度 |
Research Abstract |
本研究では、電気化学的な塩化物除去の効果およびそのコンクリート部材への影響について、以下に示すような実験を行った。(1)水溶性塩化物イオンおよびアルカリ金属イオンのコンクリート中での移動について測定を行う。(2)通電によるコンクリートの細孔構造の変化を検討する。(3)コンクリートはり部材等を用いて、補強筋の付着性状の変化が曲げおよびせん断挙動に与える影響に関する検討を行う。以上から得られた結果は以下のようである。 (1)積算電流密度が大きくなるほど、また混入塩分量が大きいほど初期の脱塩率は大きくなったが、過剰な通電を行った場合を除いてその割合は50%を越えることはなかった。また、NaやKは鉄筋近傍に集積する傾向を示したが、同様に一定値に達するとその集積の増加は停止した。 (2)Cl^-の混入量を8.0kgf/m^3としたコンクリートの細孔径分布を測定した結果、鉄筋近傍で0.1μm以上の比較的大きな空隙が減少していた。これは、セメントペーストの軟化現象に起因しているものと考えられる。 (3)付着が著しく低下した場合を想定し、スターラップの量を変化させたプレストレストコンクリートはり部材を用いて静的な曲げ試験を実施し、破壊形式に与える付着の有無の影響を検討した結果、スターラップにより十分にせん断補強したものでは鋼材付着の有無に関係なく最終的に何れも曲げ破壊したが、スターラップを配置しない場合には、ボンドタイプでは何れもせん断破壊したのに対し、アンボンドタイプでは曲げ破壊が先行した。このように、せん断卓越型の載荷条件下では、鋼材の付着の有無によってはり部材の破壊形式や終局耐力をはじめとし、鋼材応力や変形特性などの部材挙動がかなり異なることが示された。このことから、電気化学的な塩化物除去により付着が悪化した場合、これら破壊形式等に影響を与えるものと考えられる。
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