1993 Fiscal Year Annual Research Report
臨床応用を目的とした生体由来の歯根膜細胞接着物質の開発
Project/Area Number |
05557077
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加賀山 学 東北大学, 歯学部, 教授 (60004610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹野 泰之 東北大学, 歯学部, 助手 (30196191)
秋田 博敏 東北大学, 歯学部, 助手 (10108540)
金田一 孝二 東北大学, 歯学部, 助教授 (10010092)
清水 義信 東北大学, 歯学部, 助教授 (20005078)
奥田 礼一 東北大学, 歯学部, 教授 (80005024)
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Keywords | 細胞接着物質 / 歯根膜細胞 / 骨 / 歯胚 / 人工歯根 |
Research Abstract |
現在の人工歯根はその保持を骨癒着に求めているが、この方法では歯根膜を欠如し歯根膜本来の機能である咬合ストレスに対する緩衝作用および生理的咀嚼を満足する事が出来ない。この問題を解決するには人工歯根面に歯根膜を形成させる必要があり、そのためには人工歯根材に応用可能な組織細胞接着物質の開発が望まれる。またこの開発にあたって免疫による異物排除機構が機能しないという観点から、生体由来の組織細胞接着物質の開発が望まれる。 本研究では歯根膜が歯槽骨とセメント質に接続し、さらにセメント質を欠如する歯根においてもその修復過程で歯根膜が形成される事に着目し、歯の硬組織、骨、歯胚に含まれる細胞接着活性物質を抽出、分離精製して、生体由来のヒト歯根膜細胞接着物質を開発することを目的としている。 現在までの所、以下の研究結果を得た。 1)豚の歯および骨を粉砕して、EDTAを含む塩酸グアニジン溶液で溶出する蛋白を濃縮、ゲルろ過およびイオン交換クロマトカラムにより分画し、各分画における培養細胞接着活性を検索した。その結果、歯胚からは高分子および低分子分画で、また骨由来蛋白では既知のオステオポンチン、骨シアロ糖蛋白に加えて低分子分画に細胞接着活性を発見した。 2)歯胚と骨に由来する細胞接着活性を有する分画について精製を進め、電気泳動により分子量を求めた。その結果歯胚からの高分子分画では約60kDa、また骨由来低分子分画は約17kDaであった。 3)上記2つの分画は、その細胞接着様式をファイブロネクチンと比べると細胞の伸展状態が異なり、さらにRGDを含む合成ペプチドで細胞接着は阻害されなかった。この事実は上記2つの分画がファイブロネクチンとは異なる機序で細胞接着活性を示すものと考えられた。
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