1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05557122
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
鈴木 宏治 三重大学, 医学部, 教授 (70077808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
為井 弘範 富士薬品工業株式会社, 研究所, 主任研究員
岩田 和士 富士薬品工業株式会社, 研究所, 主任研究員
林 辰弥 三重大学, 医学部, 助手 (00242959)
武谷 浩之 三重大学, 医学部, 助手 (60222105)
種田 寛 三重大学, 医学部・附属病院, 助手 (00236712)
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Keywords | プロテインC / プロテインCインヒビター / α_1アンチトリプシン / APC-PCI複合体 / APC-α_1-AT複合体 / 分子マーカー / 凝固亢進状態 / 血管内凝固 |
Research Abstract |
血管内皮傷害の分子マーカーの開発を目的とした本研究において、平成5年度は主に次の3点について研究を行い、以下のような成果を得た。(1)血管内皮細胞膜蛋白質で血液凝固制御の中心因子として機能するトロンボモジュリン(TM)の可溶性型である血漿TMは、血管内皮傷害に伴って蛋白分解されて血液中に遊離すると考えられる。これまで申請者らはこの可溶性TMに対する酵素免疫学的測定キットの開発を行ってきたが、今年度はその臨床応用を検討した。臨床検体には、血管内皮傷害が推定される疾患(DIC、SLE、ARDS、各種血栓症、糖尿病性腎炎など)の患者血漿を用いた。測定の結果、これらの疾患では血漿TM濃度の著しい増加がみられ、血漿TMが血管内皮傷害の有効な分子マーカーとなることが、臨床的に実証された。(2)組織因子(TF)は、血管内皮が炎症などで傷害された場合に細胞膜から血漿中に遊離すると推定される。そこでTFの酵素免疫学的測定キットの開発を目的として、まずTFに対するマウスモノクローナル抗体を作製し、これらの抗体の性質を解析した。その結果、4種の抗体はTFへのVIIa因子の結合を阻害し、3種の抗体はTFの細胞外領域に存在するリン脂質結合部位およびX因子結合部位を認識することを明らかにした。また、抗体アフィニティークロマトグラフィーによって、胎盤抽出物から95%以上の純度のTFを1段階で精製する方法を開発した。そらに、抗TF抗体を用いて、動脈硬化の危険因子であるホモシステインが培養内皮細胞上のTF蛋白を上昇させることを見いだし、内皮細胞の傷害と向凝固活性、傷害分子マーカーとの関係を解析する適切なin vitroモデル系を開発することができた。以上のように、これらの抗体は、TFの精製やTFの構造・機能相関の解析、免疫学的測定法の開発に有用であることを明らかにした。(3)傷害内皮細胞に特異的に出現する細胞接着因子のELAM-1に対する抗体を用いて、ELAM-1の高感度酵素免疫学的測定法を開発し、血漿中に可溶性ELAM-1を検出することができた。現在、よりよいモノクローナル抗体および測定キットに添付する標準物質(組換え抗原蛋白)の作製のため、ELAM-1のcDNAを単離し、高率的発現方法を検討している。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Hayashi,T.,Nishioka,J.,Suzuki,K.,et al.: "Protein S Tokushima:abnormal molecule with a substitution of Glu for Lys-155 in the second epidermal growth factor-like domain of protein S." Blood. 83. (1994)
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[Publications] Shigekiyo,T.,Uno,Y.,Suzuki,K.,et al.: "Protein S Tokushima:an abnormal protein S found in a Japanese family with thrombosis." Thromb.Haemostas.70. 244-246 (1993)
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[Publications] Hayashi,T. and Suzuki,K.: "Gene organization of human protein C inhibitor,a member of SERPIN family proteins encoded in five exons." Int.J.Hematol.58. 213-224 (1993)
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[Publications] Ido,M.,Ohiwa,M.,Suzuki,K.,et al.: "A compound heterozygous protein C deficiency with a single nucleotide G deletion encoding gly-381 and an amino acid substitution of Lys for Gla-26." Thromb.Haemostas.70. 636-641 (1993)
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[Publications] Ito,T.,Hiraiwa,J.,Nishioka,J.,Suzuki,K.: "Characterization of functionally important regions of tissue factor by using monoclonal antibodies." J.Biochem.114. 691-696 (1993)
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[Publications] Wada,H.,Mori,Y.,Suzuki,K.,et al.: "Elevated plasma levels of vascular endothelial cell markers in patients with hypercholesterolemia." Am.J.Hematol.44. 112-116 (1993)
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[Publications] Suzuki,K.: "Molecular Biology of Thrombosis and Hemostasis.(Protein S.)" Marcel Dekker,New York (eds.by Roberts,H.R.and High,K.A.), (1993)
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[Publications] Suzuki,K.: "Methods in Enzumology.(Protein C inhibitor.)" Academic Press,New York (eds.by Lorand,L and Mann,K.G.), 613(15) (1993)