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1993 Fiscal Year Annual Research Report

カント哲学のコンテクストに関する総合的研究

Research Project

Project/Area Number 05610034
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

宇都宮 芳明  北海道大学, 文学部, 教授 (30000566)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 熊野 純彦  北海道大学, 文学部, 助教授 (00192568)
新田 孝彦  北海道大学, 文学部, 助教授 (00113598)
Keywordsカント哲学 / 自由 / 行為 / 因果性 / 意志 / 道徳法則
Research Abstract

今年度は、カントのとくに自由論について、研究協力者のうちの一名(新田)が一書を発表するなどの、重要な研究の進展をみた。以下では、この点を中心に報告する。「行為」の「自由」をめぐる、現在の錯綜した議論のただなかでカントの所論を読みかえすとき、われわれが学ぶべき点は、なによりも、「道徳」の概念に基づいて自由や行為の概念を使用する、その姿勢であり、また、自由を行為の「道徳的可能性」として理解する、その基礎的な観点であろう。人間の行為は人間の行為であるかぎり、「自由による因果性」という原因性の概念を、構成的原理として要請する。「自然にしたがう因果性」と「自由による因果性」という原因性の相違こそが、〈出来事〉経験と〈行為〉経験を、相互に還元不能な事態として区別する本質的な徴表であるからである。こうした原因性そのものは、しかし、経験的認識の対象ではありえない。むしろ、これらの概念を構成的原理として使用することによってはじめて経験としての経験が可能になるということが、それらの概念を使用する権利をわれわれに与えている。われわれの問題との関連でいうならば、ことがらのこの消息は、ことに「自由による因果性」についてあてはまる。われわれにとって、〈意志〉ないし〈意志作用〉は経験認識の対象ではない。経験認識は諸現象の結合にかかわるが、意志作用そのものは決して現象しない。にもかかわらず、あるふるまいを単なる身体的動作としてではなく、〈行為〉として把握し、理解するためには、われわれは、その身体動作の基底に、「自由による因果性」を想定せざるをえない。こうした想定を正当化するものが、まさに「道徳法則」なのである。定言命法とは、その意味で、われわれに個別的な行為を命じる実質的な諸原理を基礎づける、「道徳性」そのものの概念を定式化するものにほかならない。

  • Research Products

    (4 results)

All Other

All Publications (4 results)

  • [Publications] 宇都宮 芳明: "カントと理性信仰" 北海道大学文学部紀要. XL11-3(80号). 83-166 (1994)

  • [Publications] 熊野 純彦: "理性とその他者" 岩波講座『現代思想』. 第14巻. (1994)

  • [Publications] 熊野 純彦: "体系的思考は〈実践〉にとってなにを意味するか?" 『情況』. 4月増刊号. (1994)

  • [Publications] 新田 孝彦: "カントと自由の問題" 北海道大学図書刊行会, 363 (1993)

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Published: 1995-02-08   Modified: 2016-04-21  

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