1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05610144
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
秋葉 節夫 広島大学, 総合科学部, 助教授 (90192905)
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Keywords | 水稲作 / プラス・アルファ / 受委託経営 / 機械共同 / 生産組織 / 兼業化 / 家族経営 |
Research Abstract |
平成7年度には、平成5年度に調査実施した山形県酒田市および平成6年度に調査実施した岡山県岡山市でのデータをもとに、両市での全般に渡る補充調査を実施した。村落関係では、とくに、酒田市に属する漆曽根集落を調査したが、そして、6戸の農家での水稲受託経営が存在したが、その規模は10ヘクタール未満にとどまっており、つまりは、家族経営の枠を越えるものではないといえる。なお、この集落を含む北平田地区(旧北平田村)では、平成6年からライス・センターが稼動し、それとのかかわりで若干ながら、秋作業の共同への可能性がでてきている。とくに、平成8年以降、「高速道路関連事業」の一環として、大巾な機械の共同化が進む予定であり、その可能性は高まっていた。今後、こうした共同の生産組織にまで進むかどうかは確定しがたい。というのも、一方では、米の輸入自由化にともなう環境の悪化、他方では米価の低迷、以上の米をめぐる内外の状況はきわめて不利性を増加させているからである。こうした点を考えれば、今後の各農家の営農意識の大巾な低下も予測される。この点では、その具体的な展開をつかむことが、継続的な課題となる。 次に岡山県岡山市では、とくに対象地である藤田地区(旧藤田村)は、岡山市街地に近接しているところから、兼業依存が高いのが全体的な特徴であった。また、村落関係では、前年度の山形県酒田市の場合と同様に、大規模な生産組織は、11戸を含む一生産組織を徐いてはなく、むしろ、2〜5戸程度での機械共同,作業共同が任意におこなわれていた。つまり、ここでも家族経営の枠内での共同であり、それを越えるものはまだ存在しないのである。そういう形態での共同関係が形成されているのが特徴なわけである。こうして、両市ともに、水稲作の機械化一貫体系のなかで、生まれたが労働力を農業内外にふりむけ、生産と生活を一体とした営みの単位である、単位としての、家の今日の姿が示されているのである。しかし、両市の場合ともに、すでに述べたような農業の不利性の一層の進行のなかで、その営農意識がどのように維持され、また形成されるかは、大きな問題といわざるをえない。
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