1993 Fiscal Year Annual Research Report
ミュケナイ期東地中海世界における物的および人的移動・交流に関する研究
Project/Area Number |
05610309
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
山川 廣司 北海道教育大学, 教育学部・釧路校, 教授 (30113682)
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Keywords | 紀元前二千年紀 / 東地中海世界 / エーゲ海 / ミュケナイ・ギリシア / ピュロス王国 / エジプト・シリア / アル・ミナ遺跡 / 商業交易(場)所 |
Research Abstract |
本研究初年度においては、大きく2つの作業を計画した。まず第一に本課題に関する研究の概略を太田秀通氏や馬場恵二氏をはじめ古代ギリシア史の研究者と広く意見交換を行い、いろいろなアドヴァイスを得て大まかなアウトラインを構想した。また第二に設備備品費でパーソナルコンピュータ、マッキントッシュLC520及び文献探索ソフト、エンドノート・プラスを購入し、上記課題に関する内外の文献蒐集と分類・整理を行なった。特に関連論文が多数掲載されているBulletin de Correspondance hellenique,Supplement XIX,1990,(L'Habitat Egeen Prehistorique),Aegaeum 7,1991,(THALASSA L'EGEE PREHISTORIQUE)を入手できたことは大きな収穫であった。現在蒐集した文献を順次精続中である。またコンピュータへの文献資料入力も順調に進んでいる。 紀元前二千年紀において東地中海において、ミュケナイ・ギリシア人がシリアやエジプトなどのオリエント諸国と活発に交易を行っていたが、それに伴い人々が移動・交流していたことは考古学上の発掘や遺物によって確認される。例えばシリアのアル・ミナ遺跡(L.Wooley,A forgotten Kingdom,Penguin,1953)のようにミュケナイ人の商業交易所も存在していたが,その他でもミュケナイ人との接触の痕跡を示しており、このような東地中海世界の中でミュケナイ・ギリシアが果たした役割を正当に評価しなければならない。 本年度は主として史料蒐集と文献整理をおこなったが、次年度は本年度の研究の蓄積を踏まえて、具体的に交易の実態を追求していくつもりである。今のところピュロス出土線文字B粘土板文書に記載されている交易品を手掛かりに当時のシリア、エジプトとの交易のを仮説する論文を執筆し、また夏のサマーセミナーや研究会などの機会を利用して研究発表をし、さらに多くの研究者の意見、アドヴァイスを受け、情報収集する予定である。
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