1994 Fiscal Year Annual Research Report
ミュケナイ期東地中海世界における物的および人的移動・交流に関する研究
Project/Area Number |
05610309
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
山川 廣司 北海道教育大学, 教育学部・釧路校, 教授 (30113682)
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Keywords | 紀元前二千年紀 / 東地中海世界 / ミュケナイ・ギリシア / 古代オリエント / アル・ミナ遺跡 / 交易活動 / 商業交易所 / 海上交易 |
Research Abstract |
本研究2年度においても、大きく2つの作業を計画した。まず第一に前年度に引き続き本課題に題する研究概要について太田秀通氏をはじめ古代ギリシア史研究者と広く意見・情報交換を行い、研究構想の肉付けを行なったこと、第二に設備備品費で購入したパーソナルコンピューターを駆使して、関連文献名の分類・整理を行い、現在のところ168件の文献を入力した。それと並行して未だ入手できない文献を蒐集しているが、海外発注の場合はなかなか入手に時間がかかり、16冊ほどが未だに届いていない。しかし蒐集済の文献は順次精読し、コンピューターへの文献資料入力も順調に進んでいる。 本研究は、紀元前二千年紀の東地中海において展開されたミュケナイ・ギリシアとシリア・エジプトなどの古代オリエント諸国との間で活発に行なわれた交易の実体、そしてそれに伴っての人々の移動・交流の痕跡をミュケナイ文書(線文字B)および考古学の発掘や遺物によって確証し、このような東地中海世界の中でミュケナイ・ギリシアが果たした役割を検討することを課題としている。近年の考古学は、例えば従来の発掘に加え、水中考古学や航空考古学と研究方法の多様化と深化によってめざましい成果をもたらしている。このような最新の考古学の成果を吸収しながら、文献史料に乏しいこの時期の東地中海世界における物的・人的移動・交流の有り様を大胆に仮説したい。 本研究最終年度の次年度は、本年度までに蓄積した研究成果をもとに、できるだけ具体的に交易の実態を追求していく予定である。まず四月上旬に東京での研究会で、シリアにおけるミュケナイ・ギリシア人の交易活動について報告し、さらにサマーセミナー、北海道教育大学史学会等で研究発表し、さらに多くの研究者の意見を受けながら、本研究課題をまとめていきたい。
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