1993 Fiscal Year Annual Research Report
最外内殻正孔への価電子の遷移発光測定による正孔の動的緩和過程と表面効果
Project/Area Number |
05640389
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
窪田 信三 立教大学, 理学部, 教授 (00062612)
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Keywords | 固有発光 / オージェ・フリー発光 / 非放射緩和過程 |
Research Abstract |
帯間エネルギーの大きいBaF_2,CsCl,CsBr結晶におけるオージェ・フリー発光の発光スペクトル、発光の光励起スペクトル、発光減衰曲線などを測定することにより結晶内部と表面近傍での最外内殻ホールの遷移過程とホールの結晶表面への移行などその動的挙動に関する知見を得ることを目的とした。励起には放射線源からのガンマ線あるいはシンクロトロン軌道放射光からの軟X線およびUV光をもちいた。 BaF_2結晶あるいはCsCl結晶をガンマ線で励起した場合とUV光励起した場合とでオージェ・フリー発光の発光減衰曲線に差があることを本研究ではじめて見出した。すなわち透過力の大きく結晶母体を励起する511keVのガンマ線励起では発光減衰は単一の指数関数的減少を示すのに対して結晶表面近傍で光吸収のおこる24eV UV光励起では単一の指数関数的減少を示さない。その減衰はガンマ線励起の場合に比べて早く表面近くでは発光と同時に非発光の緩和過程の存在することを明確に示した。 結晶表面近傍での非発光過程に関する知見を詳細に得る目的から、光吸収係数がUV光領域において光エネルギーに応じて大きな差があることを利用して、発光曲線の励起エネルギー依存性の測定を室温でのBaF_2結晶に対しておこなった。UV励起エネルギーが発光の励起しきい値から30eVまでの領域に対して発光減衰曲線に特に強い励起エネルギー依存性は見出されなかった。このことは最初の予想と異なることであるが、現在このデータの詳細について検討中であり、今後発光減衰曲線の温度依存性を測定することによりこれらの結果の物理的解明を計画している。
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Research Products
(1 results)