1993 Fiscal Year Annual Research Report
画像解析による有機物の「熱変質指標」の数量化及び統一化と堆積盆解析への応用
Project/Area Number |
05640543
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
氏家 良博 弘前大学, 教養部, 教授 (50151858)
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Keywords | 熱変質 / 有機熟成作用 / 有機物 / 画像解析 / 基礎試錐 / 石油探鉱 / 花粉・胞子 / ビトリナイトの反射率 |
Research Abstract |
堆積岩中の有機物,特に花粉や胞子の色調変化を生物顕微鏡下で観察し,その色調から有機物の熟成度を表わす「熱変質指標(Thermal Alteration Index)」は定性的なものとみなされ,研究者個人や個々の研究所で独自の主観的な熟成尺度を採用してきた。そのため,研究者や研究所の間での測定結果の直接的な対比が不可能な状況となっている。本研究は,このような熱変質指標の欠点を補い,顕微鏡に接続した画像解析システムにより客観的で定量的な熟成尺度を確立することを目標とした。 本研究の目的を達するためには,熱変質指標の標準となるスケールを作成する事がまず第一に必要である。そのために,本年度は基礎試錐「浜勇知」,「稚内」,「由利沖中部」等のコア及びカッティングス試料,合計100個余りから化学的に有機物を濃縮し,顕微鏡用のプレパラートを作成した。このプレパラート中に封入された花粉・胞子等の有機物の輝度を,設備備品費で購入した画像解析システムで測定した。これらの試料については,最も信頼性の高い有機熟成指標といわれているビトリナイトの反射率が測定され,既に公表されている。そのビトリナイトの反射率の値と有機物の輝度とを対比してみると,きれいな逆相関関係が認められた。従って,有機物の輝度は有機熟成指標となることが判明し,これを熱変質指標とすることにより,客観的で定量化された熱変質スケールが確立できる可能性が高くなった。これらの研究結果の一部は,7月末に福岡県大牟田で開催された有機地球化学シンポジウムで報告した。さらに,実際に熱変質指標を測定してきた石油開発会社や石油公団の研究者に,この事実を検討・考察してもらうために,9月に新潟へ,12月に千葉県幕張へ赴いた。新潟への出張では,分析用試料の収集も行なった。その後の分析結果等については,平成6年6月に新潟県長岡市で開催される石油技術協会春季講演会で公表することにしている。
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[Publications] 氏家良博: "津軽盆地における石油根源岩評価" 石油技術協会誌. 58. 283-291 (1993)
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[Publications] 氏家良博: "石油地質学概論(第2版) 印刷中" 東海大学出版会, (1994)