1993 Fiscal Year Annual Research Report
温度感応性高分子による大気、環境水中の多環芳香族炭化水素の分離濃縮と蛍光光度定量
Project/Area Number |
05640690
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
松原 チヨ 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (10057309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
布施 哲男 東京薬科大学, 薬学部, 助手 (90238642)
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Keywords | 温度感応性高分子 / 分離濃縮 / 固-液相転移 / 環境汚染物質 / 大気、環境水 / 多環芳香族炭化水素 / 蛍光検出HPLC / ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) |
Research Abstract |
新素材の温度感応性高分子を用いる微量環境汚染物質のモニター法を開発することを意図している。本研究では、温度感応性高分子の一つであるポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(以下PNIPAAmと記す)を用いて大気、環境水中の多環芳香族炭化水素を簡易迅速に捕集濃縮し、高感度に蛍光光度定量する方法を確立した。 1.方法:大気試料の場合には、PNIPAAm水溶液を吸収液として通気・捕集し、また水試料では、PNIPAAm水溶液を加えた後、約55℃に加温すると、PNIPAAmは、多環芳香族炭化水素を取り込んで凝集し、器壁に付着した。傾斜して液を除去した後、付着物を極少量のアセトニトリルに溶解し、蛍光検出-HPLCに注入し,多環芳香族炭化水素の蛍光強度を測定した。 2.定量法の確立:以下の様に最適な条件を定め、上記の定量法を確立した。 (1)多環芳香族炭化水素として、ベンゾ(a)ピレン、ベンゾ(b)フルオランテン、ピレン、など米国環境保護局及びWHOによって提示されている16種類の多環芳香族炭化水素について検討した。 (2)分離・濃縮の条件をPNIPAAm濃度0.2%、析出時の温度を55℃、液性を0.08M硫酸と定めた。 (3)HPLCは、ODSカラムと、移動相アセトニトリル/水で分離し、検出には蛍光光度を測定した。 本法によって、300倍までの迅速な濃縮が可能であり、0.6pmol/testまで測定できた。 3.本法により喫煙室の空気、自動車排気ガス中の多環芳香族炭化水素の簡易迅速かつ高感度な定量に成功した。 PNIPAAm以外の温度感応性高分子、ポリ(ビニルメチルエーテル)についても検討を始めた。 以上、温度変化により固-液の相転移をする温度感応性高分子を抽出媒体とする分離・濃縮法の構築に成功した。
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[Publications] Chiyo Matsubara: "A newpreconcentration method of hydrophobic substances in water using polyvinylmethylether as a thermo‐responsive polymer." Chem.Lett.1993. 849-850 (1993)
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[Publications] Chiyo Matsubara: "Determination of trace amounts of phosphate in water after preconcentration using a thermally reversible polymer" Analyst. 118. 553-556 (1993)
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[Publications] 松原チヨ: "ポリビニールメチルエーテルを用いる水中極微量リン酸の分離・濃縮と吸光光度定量" 日本化学会誌. (印刷中). (1994)