1994 Fiscal Year Annual Research Report
エンド型キシログルカン転移酵素による細胞壁構築の分子機構
Project/Area Number |
05640733
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Research Institution | KAGOSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西谷 和彦 鹿児島大学, 教養部, 助教授 (60164555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 繁久 鹿児島大学, 教養部, 講師 (30211808)
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Keywords | キシログルカン / 糖転移酵素 / 細胞壁 / GARE / 細胞生長 / mRNA / オーキシン / ジベレリン |
Research Abstract |
昨年度までの研究により、エンド型キシログルカン転移酵素(EXT)が、細胞壁中のキシログルカン架橋の繋ぎ換え反応を触媒することをin vitroを用いて糖質化学的手法により実証した。 本年度は、キシログルカン架橋の繋ぎ換え反応の生理学的な意味を明らかにするため、ゲノム遺伝子のクローニング、ノーザンブロット法およびイムノブロット法などを用いてEXTタンパク質の植物体内での発現と細胞壁構築との関係を解析し以下の結果を得た。 1)遺伝子解析のモデル植物とされているアラビドプシスを用いてEXTタンパク質をコードするゲノムDNAをクローニングし、その塩基配列の解析を行いexgt(endo-xyloglucan transferase)遺伝子と名付けた。exgt遺伝子は4つのエキソンと3つのイントロンより成り、サザンハイブリダイゼイションの結果は、同遺伝子がゲノム当たり1コピー存在することを示していた。この遺伝子のTATAボックスの上流150bp付近に、イネ科植物のアミラーゼ遺伝子に見られるジベレリン応答エレメント(GARE)類似の配列が存在することが明らかとなった。 2)アズキのEXT-cDNAを用いたノーザンブロット法、及び抗EXT抗体を用いたイムノブロット法によりEXTタンパク質は細胞壁構築の盛んなアズキ上胚軸組織内でのみ高い発現を示すこと、EXT-mRNAレベルがジベレリン、オーキシン、蔗糖によりそれぞれ増加することなどが明らかとなった。 以上、本年度の研究成果から、EXTタンパク質がオーキシンやジベレリンなどの植物ホルモンの制御を受けながら生長中の茎器官における細胞壁構築に於いて重要な役割を演じていることが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Okazawa,K.et al.: "Molecular cloning and DNA sequencing of endo-xyloglucan transferase" J.Biological Chemistry. 268. 25364-25368 (1993)
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[Publications] 西谷和彦: "エンド型キシログルカン転移酵素(EXT)と細胞生長." 植物の化学調節. 28. 135-144 (1993)
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[Publications] Masuda,Y.et al.: "Changes in the rheological properties of the cell wall of plant seedlings under simulated microgravity conditions." Biorheology. 31. 171-177 (1994)
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[Publications] 西谷和彦: "細胞壁構築に関与する新しい酵素-エンド型キシログルカン転移酵素" 植物細胞工学. 6. 130-136 (1994)
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[Publications] Nishitani,K.: "Endo-xyloglucan transferase,a new class of transferase involved in cell wall construction" J.Plant Research. (in press). (1995)
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[Publications] 西谷和彦: "エンド型キシログルカン転移酵素の反応機構と遺伝子発現" 応用糖質科学会誌. (印刷中). (1995)
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[Publications] 西谷和彦: "化学と生物" 植物細胞壁の構築に関与する新しい糖転移酵素遺伝子群、エンド型キシログルカン転移酵素遺伝子ファミリー.(印刷中), (1995)