1993 Fiscal Year Annual Research Report
薄膜レンズを用いた透過電子顕微鏡用対物レンズの球面収差補正に関する基礎的研究
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05650051
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
花井 孝明 名古屋大学, 工学部, 講師 (00156366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 成泰 名古屋大学, 工学部, 助手 (70217032)
日比野 倫夫 名古屋大学, 工学部, 教授 (40023139)
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Keywords | 球面収差 / 収差補正 / 薄膜レンズ / 透過電子顕微鏡 / 球面収差測定法 |
Research Abstract |
1.透過電子顕微鏡(TEM)対物レンズ用薄膜レンズの設計 (1)薄膜レンズの球面収差補正特性の計算:使用するTEMに対して最適な補正特性を持つ薄膜レンズを設計するため,薄膜レンズの形状パラメータを変えて3次と5次の球面収差係数を計算した.その結果,実用上可能な薄膜レンズ電圧で補正を達成するためには,薄膜レンズを対物レンズポールピースの下側磁極片にできるだけ近付けて配置し,薄膜レンズ電極の孔径を従来より小さく0.3mm以下にする必要があることが分った. (2)薄膜レンズの設計と製作:(1)の計算結果に基づき,サイドエントリー薄膜レンズの設計・製作を行った.強い透過ビームが薄膜上にフォーカスし,薄膜にコンタミネーションが生じることを防ぐため,内部に薄膜加熱用機構を組み込んだ.また,解像度を制限する要因となる軸ずれを減少するための微動機構を設けた. 2.球面収差測定法の検討 (1)微粒子結晶を用いる測定法:はじめに,プローブフォーミングレンズの球面収差の測定に用いてきた陰影像法を使用する可能性について検討したが,TEMに対しては精度が不足であることが分かった.そこで,従来用いられてきた,酸化マグネシウム微結晶の暗視野像と明視野像のずれを球面収差とする測定法の精度を実験的に評価した.その結果,測定誤差は±0.6nm以下で補正特性の把握には十分であることが分った. (2)光回折法とディジタルフィルタリング:球面収差補正による解像度の変化を測定するため,光学ベンチを購入し,光回折装置を構築した.また,精度よく解像度を測定するため,専用のパーソナルコンピュータを備品として購入し,光回折像のノイズ低減,微小信号の計測等のフィルタリング処理システムを構築した.
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[Publications] 花井孝明: "最大エントロピー法を用いた画像処理のSTEMへの応用" 日本電子顕微鏡学会「電子顕微鏡による材料研究のための新手法」研究部会予稿集. 16-20 (1993)
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[Publications] 日比野倫夫: "Spectrum-acquisition Imaging System for STEM Elemental Mapping using PEELS with a Moderate-scale Detector." Proc.7th Chinese-Japanese Electron Microscopy Seminar(in print). 1. (1993)
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[Publications] 田中成泰: "Raman Scattering of InGaAsP Lattice-matched to GaAs in the Region of Immiscibility." Japanese Journal of Applied Physics. 32. 2718-2721 (1993)