1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05650397
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辻本 浩章 大阪大学, 基礎工学部, 講師 (90172014)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 久生 大阪大学, 基礎工学部, 教務員 (10156961)
山口 智浩 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (00240838)
|
Keywords | 伝送線路 / CoNbZr |
Research Abstract |
磁性膜を上下にはさむ形で伝送線路を積層し、磁性膜に設けた上下に貫通する穴により上下の伝送線路を接続し、磁性膜の局所的な磁気特性を外部から変化させることにより個々の結合を自由に制御することを試みた。伝送路の形状が有する特性、並びに磁性膜を含めた伝送特性を計算機によりシミュレートした。この形状の素子において、磁性膜に設けた貫通穴の位置により、大きく入出力特性が変化することが分かった。すなわち、入力、出力の伝送線を可能な限り近づけることにより、より大きな出力が得られる。しかしながら、入力、出力の伝送線の長さが出力電圧に依存する。すなわち、伝送線路が長ければ長いほど大きな出力が得られることが分かった。素子全体に、一様な磁界を印加することにより、入出力特性が大きく変化することが分かり、入出力特性を制御可能な素子であることを確認した。入力、出力の伝送線路の脇に入出力特性を制御する目的で設けられた第3の伝送線路に制御電流を流すことにより、入出力特性を変化させ得ることが分かった。この素子においては金属膜である非晶質CoNbZr薄膜を伝送媒体として用いた。計算機シミュレーションにおいても非晶質CoNbZr薄膜を想定して検討を行った。計算機シミュレーションで得られた結果と実験において得られた結果とは傾向において良く一致した。しかしながら、その出力電圧レベルはシミュレーションにおいても実験結果においても十分なレベルに達していない。その原因として、素子の各形状が最適化されていないこと、また我々の用いた非晶質CoNbZr薄膜が十分な磁気特性を有していなかったことに起因してのものと考えることができる。すなわち、金属膜である非晶質CoNbZr薄膜の電気抵抗率が低く、100MHz以上の高周波領域での損失が大きく、十分な磁気特性が得られないことによるものであると考えられる。
|