1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05660058
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
上宮 健吉 久留米大学, 医学部, 講師 (40080965)
|
Keywords | 超音波霧化貫流ポンプ / 超音波パルス放射 / 電撃ショック / 温室害虫 / 果実吸蛾類 / 蚊 / 誘引殺虫 / コナジラミ |
Research Abstract |
本年度は課題テーマに係わる諸電子装置の製作を行い、次のような成果を得た. 1.超音波霧化貫流ポンプの試作品を完成させた.本装置は温室内において高圧に帯電した水粒子を発生させる装置となり、水粒子(10〜30mu)を霧状に散布し、多角体ウイルスや成長阻害剤を植物や害虫に均一に効果的に放射するものである。この機構は超音波振動素子が高圧パルスに共振して空洞現象によって液体を噴霧する方法で、圧縮空気によらない散布方法となり、殺菌剤などの農薬もロスがなく、効果的に植物体や害虫に全面に霧化散布することが期待される。本装置による各種の害虫制御剤を用いたコナジラミ,アブラムシ類の防除は実験中である。 2.果実吸蛾類や芝生の害虫であるヤガ科の成虫を超音波パルス放射によって忌避防除する電子装置の試作品を完成させた。本装置はさらに改良を加え、高圧駆動のランジュバン振動子から通常電圧で駆動する低価格の素子の集積を振動体とした蓄電池型の直流駆動として用いる方法を考案した。本装置によるヤガ類の忌避行動は室内実験下で非常に顕著であり、特定のパラメータを選択使用すれば害虫の行動を制御できることが明らかとなった。野外での実験は異常気象の影響で出来なかった。 3.蚊類の誘引殺虫防除のため、音響信号で誘引した成虫を電撃ショックで防除する装置を完成させた。ICメモリー回路によって種別の誘引信号を選択し、ソーラー電源駆動による野外での使用を可能にするものである.本装置は特に音信号に敏感なネッタイシマカ、コガタアカイエカの防除に有効に利用される可能性を明らかにした。 4.温室害虫であるコナジラミ類が振動信号で交信することを始めて明らかにした。この習性は外部からの人工刺激によって配偶行動を制御し交信を攪乱させることが期待されるものとなった。 平成6年度は本年度に技術的に確立させたこれらの新しい装置による野外実験を実施する計画である。
|