1994 Fiscal Year Annual Research Report
マングローブ群落内の潮の干満に伴うコロイド状浮遊粒子の特性と動態
Project/Area Number |
05660076
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
渡嘉敷 義浩 琉球大学, 農学部, 助教授 (70045128)
|
Keywords | マングローブ / 表層堆積物 / 浮遊物粒子 / 一次鉱物 / あられ石 / 方解石 |
Research Abstract |
マングローブ群落の流水路の流域や群落の内側および河口付近での、潮の干満に伴う浮遊物粒子および表層堆積物の内容や特性を明らかにする目的で、石垣島の吹通川流域のマングローブ群落にて、浮遊物粒子は採水器を流水路に設置し、表層堆積物は円筒形(直径3cm)採土器で深さ5mmまでをそれぞれ採取した。また、表層堆積物の採取地では、トラップを設置して浮遊物粒子も採取した。浮遊物粒子は、下流ほど白色の珊瑚片様物質の混入が多く、上流ほどそれらが消失して土粒子物質が目立ち、群落内側ほど腐朽した植物根様物質が多く見られた。浮遊物粒子の総量は、比較的に下流と上流で少なく、中流では若干多く、群落内側ではかなり少なかった。粒径1mm以上のは著しく少なく、0.25mm以下が約62〜98%で下流と上流に多い他、群落内側に最も多かった。石英が主体で、長石やクリストバル石が随伴して上流ほど多く、下流ではこれらの他にあられ石や方解石が随伴した。CaCO_3含量は下流ほど高く、腐植含量は下流で低くて群落内側で高い特徴をそれぞれ示した。表層堆積物では、上部面は粘土質、下部面は砂質を示して異なった。上部面は群落内側ほど粘土質の様相を示したが、群落の外側より内側ほど0.5mm以上の粒子が多く、0.25mm以下の粒子が少ない傾向を示した。採取地点間および満潮後には粒径組成が異なり、水路と群落間では粒径0.25mm以上が増えてそれ以下が減少し、群落の縁や内側では同粒径が減少してそれ以下が増加する傾向を示した。同様に、一次鉱物組成も異なり、浮遊物粒子と同様に石英が主体で、群落の内側ほど長石は減少してあられ石や方解石が増加する傾向を示し、クリストバル石は群落の縁に多かったCaCO_3含量は群落の内側で最も高く、水路との間より縁では低く、満潮後の昼間にはかなり減少した。一方、腐植含量は群落の縁で最も高く(9%)、満潮後の昼間には内側を除きいずれも増加した。トラップ中の腐植含量は満潮前後の増減が異なったが、群落の内側ほど高い傾向を示した。
|