1993 Fiscal Year Annual Research Report
マツ材線虫病の発病に及ぼす共存植物の作用機構の解明
Project/Area Number |
05660165
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
富樫 一巳 広島大学, 総合科学部, 助教授 (30237060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 計一 広島大学, 総合科学部, 助教授 (00238809)
堀越 孝雄 広島大学, 総合科学部, 教授 (00094102)
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Keywords | 材線虫病 / 感受性 / アカマツ / マツノザイセンチュウ / 共存樹種 / アレロパシー / マツノマダラカミキリ |
Research Abstract |
オオバヤシャブシの新鮮な葉900gを7〓のメタノールに室温下で浸漬し、可溶分を抽出した。抽出液を減圧下に50℃以下で濃縮して87.3g(9.7%)の残分を得た。残分に純水を加え、クロロホルムで分配抽出した。水層を更にイソブタノールで抽出し、クロロホルム画分(CHCl_3可溶分3.0%)、イソブタノール画分(i-BuOH可溶分1.5%)、水溶性画分(5.2%)の3画分を調整した。各画分は純水で500ppmまたは1,000ppmに調整して用いた。24℃、暗黒の条件下ではレタスの48時間後の発芽率はどの画分でもほぼ100%であった。しかし、幼根の伸長度はイソブタノール画分では劣り、水画分でも若干劣ったので、それらに根の成長阻害物質の存在が推定された。 オオバヤシャブシおよびヒサカキの風乾した葉・細枝30gを純水1〓に25℃で24時間浸漬し、それを濾過した抽出液を5℃または-20℃で保存した。実験にはこの抽出液の1倍、10倍、100倍、1,000倍の希釈液を用いた。25℃、16時間明期8時間暗期の条件下で、クロマツの実生を発芽後新葉が展開するまで(1〜2週間)純水で育てた。その後、前記の抽出液を1週間おきに取り替えながら、死亡を調査した。抽出液による栽培開始後1週間後に、これらの実生の一部にマツノザイセンチュウを1,000頭接種して、その後の発病を調査した。その結果、いずれの植物のどの希釈濃度でも、線虫を接種しない場合に比べて接種した場合の枯死率が高くなった。線虫接種の場合、100倍と1,000倍の希釈液の栽培では、オオバヤシャブシ抽出液の方がヒサカキ抽出液より高い枯死率を示した。 マツノマダラカミキリ成虫をアカマツ枝で飼育した。この時、飼育網室内にオオバヤシャブシまたはヒサカキの鉢植えを置いた。1週間おきにアカマツ枝と産卵用のアカマツ丸太を交換して、成虫の生存率と産卵数を調査した結果、網室内の共存植物によってカミキリの生存率と平均産卵数には差が認められなかった。
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