1995 Fiscal Year Annual Research Report
プレカット事業の展開に伴う木材流通の変貌と林業産地システム化に関する研究
Project/Area Number |
05660169
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
堺 正紘 九州大学, 農学部, 教授 (70038248)
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Keywords | プレカット / 林業産地 / 産地システム / 品質管理 / 乾燥木材 |
Research Abstract |
1.プレカット資材の品質管理の実態 東海圈において優秀なプレカット工場を3工場選定し事例調査を行った.これらの工場では全般的に製材品の品質に対する関心が高く、寸法精度及び曲がりについて基準を設け、材料検査で基準以下の製材品は交換を要求している.また、乾燥については、在来木造重住宅では最大手の住宅企業と提携している工場では、製材品の不安定性を克服するためすべての構造用材を集成材に転換している.その他の工場も、現状は柱角に人工乾燥材を要求する程度であるが、今後は柱角だけでなく桁等の横架材についても集成材への転換を考えている.要するに、品質管理は、生材→天然乾燥材→人工乾燥材への傾向を強めているが、人工乾燥材供給の不安定性のため集成材への転換が進んでいる. 2.プレカット工場の類型化 プレカット工場は、その設立的ないし設立の経緯から、【encircled1】地域材の需要・販売力の拡大型、【encircled2】材木店等の木材流通業者の販売力拡大型、【encircled3】建築合理化による木造住宅の受注力拡大型、【encircled4】プレカット事業型、の4種類に分かれる.また、プレカット工場の用材入手形態には、A委託者持ち込み型、B自社調達型、C本社支給型、の3種類があり、これらには【encircled1】-A、【encircled2】-B、【encircled3】-BorC、【encircled4】-C、のような相関関係がある。 3.プレカット加工事業の展開と林業産地化 プレカット工場の品質管理水準は人工乾燥材を軸に曲がり、節、材色など厳しさを増しており、国産人工林材の販路の確保のためにはこれらの問題をクリアすることが課題である.また、プレカット加工用材及び加工部材の物通は概して短絡化を辿っているが、商流については債権保全のために旧来の流通経路が踏襲されている.とくに材木店、木材問屋系譜のプレカット工場にこの傾向が目立つ.
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[Publications] 堺 正紘: "森林地帯から林業産地へ-大分県佐伯南部流域システムづくり-" 木材情報. 48. 16-18 (1995)
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[Publications] 堺 正紘: "人工林資源の活用と新たな森林資源管理" 森林組合. 300. 8-12 (1995)
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[Publications] 堺 正紘: "山村と林業の振興を目指して-森林の人工扶養力-" 山林. 1338. 2-8 (1995)