1993 Fiscal Year Annual Research Report
選択的フェノール化反応を応用する高機能リグノフェノール誘導体の合成に関する研究
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05660187
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
船岡 正光 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (50093141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光永 徹 三重大学, 生物資源学部, 助手 (20219679)
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Keywords | リグニン / フェノール誘導体 / フェノール化 / リグノ・フェノール誘導体 / 膨潤-溶媒和プロセス / 加水分解 / 炭水化物 / 機能性高分子素材 |
Research Abstract |
本研究は,リグニンのフェノール系高分子としての特性を最大限機能させるようリグニン構造を分子設計・分子構造変換し,プロトリグニンおよび工業リグニンから反応活性な高機能リグノフェノール誘導体を合成することを目的としている。本年度は主としてリグニン側鎖α位への各種フェノール誘導体の選択的導入法,導入量コントロールおよび最適導入条件について検討した。 濃酸-フェノール誘導体2相分離系を応用し,室温にてリグノセルロース系複合体中のリグニンをジフェニルメタン型フェノール系素材へと誘導・分離する方法として,フェノール誘導体の特性により,次の2プロセスが有効であることを見出した。フェノール誘導体が常温で液体であり,且つリグニン溶解能に優れている場合,リグノセルロース系複合体のフェノール誘導体処理およびそれに続く濃酸処理の2ステップで,室温で迅速にリグニン誘導化,分離が可能である(標準法)。一方,固体フェノールあるいはリグニン溶解能に劣るフェノール誘導体の場合,[フェノール誘導体収着]-[濃酸処理]-[液体フェノール処理]の3ステップ処理が効果的である(収着法)。両プロセス共,異種フェノールの混合率,収着率を単に変更するのみによって,リグニン測鎖への異種フェノールの導入率をコントロールすることが可能であり,さらに反応系へのベンゼン等不活性溶媒の添加は,リグニンおよび炭水化物の機能化速度制御に用い得ることを認めた。なお上記プロセスは,リグノセルロース系複合体中の変性リグニンおよび工業リグニンの機能化に対しても適用可能である。
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