1994 Fiscal Year Annual Research Report
選択的フェノール化反応を応用する高機能リグノフェノール誘導体の合成に関する研究
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05660187
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
船岡 正光 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (50093141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光永 徹 三重大学, 生物資源学部, 助手 (20219679)
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Keywords | リグニン / リグノセルロース系複合体 / フェノール誘導体 / 相分離反応系 / フェノール化 / リグノフェノール誘導体 / 酸 / 加水分解 |
Research Abstract |
天然リグニンからの高機能フェノール系リグニン素材合成に関し'以下の事項を検討した。 1.合成リグノフェノール誘導体の分子構造 濃酸およびフェノール誘導体から構成される相分離反応系において,天然リグニンから直接合成したリグニン誘導体(リグノフェノール誘導体)の分子構造を,分光分析および核交換手法により解析した。その結果,リグノフェノール誘導体は分子内にほとんど共役系を有していないこと,分子内に導入されたフェノール誘導体は,その約77%がリグニン側鎖α位にC-C結合しており、また約16%がCγ位に,そして残り約7%がそのフェノール性水酸基を通してリグニン側鎖にエーテル結合していることを明らかにした。さらに,処理過程における単位間結合の解裂はα-アリールエーテルに限定され,側鎖β,γ位はほとんどインタクトなまま保持されていることを確認した。 2.合成リグノフェノール誘導体の分子構造変換 リグノフェノール誘導体が側鎖α位に高頻度でフェノール核を有することに着目し,その燐接基関与効果によりβ-アリールエーテル結合の選択的解裂を試みた。アルカリ処理によるリグノフェノール誘導体の分子量変動パターンと,側鎖α位における隣接基関与効果発現可能なフェノール核の比率との間には,明確な相関が認められた。したがって,合成時,側鎖α位導入フェノール核の構造とその分布をコントロールすることにより,規則的にリグノフェノール誘導体の分子量制御が可能である。 3.合成リグノフェノール誘導体の機能特性 構造の異なるフェノール化合物を導入したリグノフェノールおよびその誘導体を合成し,タンパク質に対する機能を検討した。リグノフェノール誘導体は従来のリグニン試料にはない際だったタンパク質親和性を示し,しかもリグノフェノール上に固定化された酵素は高い活性を保持していることを確認した。リグノフェノール-タンパク質アフィニティーは主として疎水的相互作用により発現していることを明らかにした。
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[Publications] M.Funaoka: "A Refining and Structural Modification Process of Lignocellulosics of Room Temperature by Combined Hydrolysis-Phenolysis" Bull.Fac.Bioresources,Mie Univ.No.10. 117-130 (1993)
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[Publications] 浜口佳織: "クラフトパルプ残留リグニンの特性-膨潤-溶媒和プロセスによる評価-" 三重大生物資源紀要. No.11. 87-96 (1993)
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[Publications] 船岡正光: "天然リグニンのフェノール誘導体-濃酸2相系処理法による機能性リグノフェノール誘導体の合成" 熱硬化性樹脂. 15. 77-87 (1994)
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[Publications] M.Funaoka: "Functionalization of Lignocellulosies in the Phose-Separative System" Proceedings of '94Cellulose R&D. 213-218 (1994)
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[Publications] M.Funaoka: "Conversion of Native Lignin to Highly Phenolic,Functional Polymer and Its Separation from Lignocellulosics" Biotechnology & Bioengineering. (発表予定). (1995)
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[Publications] M.Funaoka: "Characteristics of Lignin Structural Conversion in the Phase-Separative Reaction System Composed of Cresol and Sulfuric Acid" Holzforschung. (発表予定). (1995)
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[Publications] M.Funaoka: "Cellulosics:Pulp,Fibre and Environmental Aspeots" Ellis Horwood, 509 (1993)