1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05660243
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荏開津 典生 東京大学, 農学部, 教授 (40011928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 保 岩手大学, 農学部, 講師 (20177736)
中嶋 康博 東京大学, 農学部, 助手 (50202213)
生源寺 真一 東京大学, 農学部, 助教授 (40196580)
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Keywords | 中山間 / 土地改良 / 農村整備 / 地域経済 / 産業連関表 / 内部組織論 |
Research Abstract |
平成5年度は以下の点について研究を行った。 (1)中山間地域の人口動態・就業構造に関する統計的分析。 (2)現地実態調査(京都府和知町)。主として就業構造の確認し、土地改良・農村整備事業の雇用誘発効果の波及過程を追跡した。また国土保全等の農業外効果の発現形態を現地事情に即して考察した。 (3)雇用誘発効果測定を前提とした地域産業連関分析の準備を行った。 (4)条件不利地域政策の先進国であるEUの政策手段に関して、既往文献による論点整理を行った。 具体的な対象地域が選定され現地調査も行い、就業構造を中心に地域経済を分析した。土地改良・農村整備事業がもたらす波及効果の数量的把握のために、当該地域の地域産業連関表の作成を企図したが、地域経済の活動範囲を特定する上での理論および作業の両面の問題点が明らかになった。最大の問題は、地域内外へのフローを正確に捕えることが困難な点である。一国の産業連関表の場合には国境が概念的にも実務的にも截然と確定できるので、外部から流入するもの、また外部へ流出するものの内容とその量を捉えることは容易である。行政ブロックで便宜的に分けた地域産業連関表はとりあえず存在するので、われわれの目的に合わせながらその作成手法に倣って、より地域を限定した連関表を作り上げることは可能であると思われる。しかしそこではさらにいくつかの仮定を要する。 実態調査の過程で、地域経済・農業を振興するうえで土地改良が果たす役割が予想どおり大きいことが明らかになったが、それに加えて、そこで地域に投入された土地改良資本をどのようにマネージメントするかで、事業の経済成果が大きく左右されることが指摘された。現地調査を行った和知町は他地域へのモデルとなりうるシステムを作り上げているが、解決すべき課題は多く、近年発達している(内部)組織論による新たな解釈とそれに基づく提言ができるならば、当地域にとっても有用であろう。
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