1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05660311
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤原 昇 九州大学, 農学部, 助教授 (60150512)
|
Keywords | 家禽精子 / 精子膜 / 過酸化反応 / 透過性 / アミノ酸 / グルコース / リン脂質 |
Research Abstract |
まず、本年度の目標であった家禽精子の膜の機能を測定するために検討した薬品Ethidium Bromide(EtBr)が極めて有効に利用できることが証明された。、また、膜に特異的に存在する燐脂質の過酸化反応を測定することによって、膜の機能がある程度測定できることも確認された。さらに、膜の透過性を検討するために実施したアミノ酸とグルコースの取り込み量の測定も極めて有用であることが判明した。一方、家禽の種類、系統あるいは個体間などによる精子の膜の機能にかなりの相違がみられたので、今後はあらゆる角度から精子の膜の機能についてさらに詳細に検討するための方法論を確立することが必要であろう今年度に得られた研究成果を要約すると次の通りである。 1)EtBrは細胞のDNAに特異的に結合するために、測定が極めて簡単で精子の膜の機能を測定するのに最適な方法のひとつであることが証明された。とくに膜の機能が傷害を受けた場合の判定は、この薬品を使用することによって容易にできることが確認された。しかし、この試薬を用いる場合には、測定を迅速に行うことが重要で、時間と経過とともに膜の機能が微妙に変化することも明らかとなった。 2)家禽精子の膜の燐脂質の過酸化反応は通常ではあまりに起こり得ないことがわかり、この測定による膜の機能の推定はあまり確実性がないということも推察された。従って、今後は哺乳類精子の場合と比較して、精子の膜の生化学的性質をも考慮した新しい反応法についても検討する必要があるものと思われる。 3)精子の膜の透過性を検討するために用いたアミノ酸及びグルコースの家禽精子による取り込み量の測定方法は著者らが既に報告したもので十分であることが証明された。この方法で定量した上記二物質の取り込み量の変動は極めてよく膜の機能を反映しているものと考えられた。しかし、この方法も精子の膜の機能の僅かな微妙な変化に対しても反応するために、測定条件を厳密に設定することが重要である。
|
-
[Publications] Z,Li,O,Koga and K.Tanaka: "Effect of gonadotrophins on follicular steroid hormone product-ion in hypophysectomized hens." Asian-Aust.J.Anim.Sci.,. 6. 411-416 (1993)
-
[Publications] T.Soh,N,Fujihara,&O.Koga,: "Observations of pigment accumulation in the epithelium of the Shell gland in Japanese quail" J.Fac.Agr.,Kyushu Univ.,. 38. 73-80 (1993)
-
[Publications] F.Van Wambeke&N.Fujihara: "The effect of adding transparent fluid to fowl semen on fert-ility and hatchability after 24 hr of storage" Asian-Aust.J.Anim.Sci.,. 6. 447-450 (1993)
-
[Publications] R.Nakamichi,S.Ohbo-shi&N.Fujihara: "Vitrification of rat blastocysts developed in vitro" Zygote. 1. 281-285 (1993)