1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05660342
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Research Institution | GIFU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
福士 秀人 岐阜大学, 農学部, 助教授 (10156763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 克哉 岐阜大学, 農学部, 教授 (30021702)
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Keywords | クラミジア / 病原性 / オウム病 |
Research Abstract |
病原性に関与する因子として熱ショックタンパク質(heat shock Protein,hsp)に注目し,比較分子生物学的解析を行った.hspには種々の分子が他の細菌において知られているが,今回は分子量約60kのhsp60,いわゆるGroELの一次構造を比較解析した.トリ由来2株,オウム病患者由来1株,ネコ由来3株およびヒツジ由来1株を用いた.各株のGroELをPCRにより増幅し,常法にしたがって塩基配列を決定した.増幅産物は予想された1272塩基対(bp)より構成され,挿入や欠失は観察されなかった.これまでに報告されているモルモット封入体結膜炎(GPIC)株を含め相同性を比較したところ,塩基配列およびアミノ酸配列において88.8%から100%および97.9から100%だった.由来宿主により異なるアミノ酸残基が5カ所に認められた.また,C末端領域には種特異的アミノ酸配列が認められた.クラミジアにおけるGroELの機能を推定するため,解析が最も進んでいるEsherichia coliのGroELと比較した.活性発現に必須な27アミノ酸残基中24残基がクラミジアGroELにおいても保存されていた.これらの保存アミノ酸残基はヌクレオチド結合部およびGroESとの相互作用に関与するとされている.残る3残基は性質のことなるアミノ酸に置換していた.今回の成績からクラミジアGroELは由来宿主と関連したグループにまとめられることがわかった.C.trachomatisではGroELが宿主であるヒトのGroELとの免疫学的類似性による自己免疫反応を惹起することが病原性の一因であるとされている.C.psittaciにおいては各宿主のGroELに関する情報が乏しいため,クラミジアGroELと宿主GroELの関係を解明することが必要である.これまでの制限酵素多型性解析では宿主に対する病原性との関連性を明確にできなかったが,一次構造解析によりクラミジアGroELが病原性に関与する可能性が示唆された.
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