1993 Fiscal Year Annual Research Report
キシラジンおよび塩酸ケタミンの妊娠山羊の母体・胎子に及ぼす影響に関する研究
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05660368
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
坂本 紘 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (20041650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 明広 鹿児島大学, 農学部, 助手 (40168852)
川崎 安亮 鹿児島大学, 農学部, 助手 (50211181)
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Keywords | キシラジン / 妊娠山羊 / 胎子心拍数 / 胎子血圧 / 子宮内圧 / 子宮動脈血流量 / 子宮収縮 |
Research Abstract |
妊娠獣に対するキシラジンのおよぼす影響を明らかにする目的で、妊娠山羊の慢性生理的モデルを作成し、キシラジン投与に伴う母体・胎子の心拍数、血圧、pH、血液ガス、子宮内圧および子宮動脈血流量の変化を観察した。キシラジン0.2mg/kgを筋肉内投与により、母体の心拍数と血圧は著しい低下を示し、その変化は投与後120分まで持続した。一方胎子では、キシラジン投与後5分後においてのみ心拍数の有意な低下と血圧の有意な上昇が認められた。また、母体動脈血のpH・ガスについては、投与後60分まで有意な低酸素血症と呼吸性アシドーシスが観察された。胎子においてもpHの低下と酸素分圧の低下が認められたが、その変化は母体に比べ軽微であった。キシラジン投与後2〜5分以内に子宮内圧は上昇しはじめ、約15分間その状態は継続した。その後、周期的な上昇が頻発した。キシラジン投与後5分で、子宮動脈血流量は投与前値の53%まで減少し、それに同調して胎子心拍数の低下と血圧の上昇が観察された。以上の結果より、妊娠獣にキシラジンを投与することにより、母体の血圧の低下、低酸素血症および呼吸性アシドーシスに加えて、子宮収縮の誘発に起因する子宮動脈血流量の現象が起こることが判明した。また胎子に対する影響は母体に比べ軽度であったことから、胎子を外的なストレスから保護するための防御機構が存在することが示唆された。今回の実験成績より、キシラジンは妊娠獣に対して危険性が大きな薬剤であることが明らかにされた。
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