1993 Fiscal Year Annual Research Report
口之島産野生化牛の遺伝資源としての評価、保存および利用
Project/Area Number |
05660377
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
並河 鷹夫 名古屋大学, 農学部, 助教授 (70111838)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 武 名古屋大学, 農学部, 教授 (70023421)
織田 銑一 名古屋大学, 農学部, 助教授 (60023660)
山縣 高宏 名古屋大学, 農学部, 助手 (50242847)
|
Keywords | 牛 / 動物遺伝資源 / 在来家畜 / 遺伝的多様性 / 遺伝資源保存 |
Research Abstract |
1990年、雄1頭(No.I)、雌3頭(No.1-3)いずれも成牛を名古屋大学農学部山地畜産実験実習施設へ導入、さらに、1993年、成雌を3頭(No.8-10,No.8は雄仔牛-No.VIIを伴っていた)、若雄1頭(No.VI)を同施設へ捕獲導入した。導入個体は青刈り牧草または乾草を主とし、フスマを適量加えた飼料により舎飼いした。成雌には明確なランクがあるため、同一の牛房に複数収容することはしなかった。1990年導入の成雄と施設内で生まれた育成段階の仔牛は5月より10月間での6カ月間は昼夜放牧した。交配は発情観察時、あるいは1カ月程度の雌雄同房などによる自然交配によった。 1990年導入の個体についてみると、ほぼ1年に1回の順調な出産がみられ、出生後の不慮の事故による死亡2個体以外の仔牛は順調に成育した。導入個体の出産は現在までに合計9回みられ、7頭が育成されている。 出生時体重は雄、雌それぞれ3例について測定できた。口之島産野生化牛の出生時体重は雄で25kg、雌で20kg程度と推測された。 口之島産野生化牛の野生状態で成育した個体の雄(No.I)は約470kg、雌(No.8,No.9)は約220kgと230kgであった。実験施設内で妊娠、出産した雄仔牛は1才で200kg前後、2才で326kgであった。一方、雌では約1才で150kg、2才で240kgであった。体重における性差は顕著であると言えよう。濃厚飼料などを給飼していないとはいうものの黒毛和種などと比較すると明かに晩熟で少格である。 現在、この牛の安定した繁殖コロニーの育成を進めるとともに、核DNAの制限酵素切断断片長多型(RFLP)、およびミトコンドリアDNA(mtDNA)のRFLPにより、口之島産野生化牛の集団内遺伝的変異性と系統的位置について分析を進めている。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 織田銑一: "口之島産野生化牛と欧州牛との核DNA制限酵素切断断片の比較" 環研年報. 45(印刷中). (1944)
-
[Publications] Hironaga Kakoi: "Divergence between the Anoas of Sulawesi and the Asiatic Water buffaloes,inferred from their complete amino acid sequences of hemoglobin β chains." Zeitschrift fur zoologische Systematik and Evolutionforschung. 32(in press). (1994)
-
[Publications] 並河鷹夫: "バリウシの特徴と遺伝資源としての可能性" 畜産の研究. 47. 97-101 (1993)
-
[Publications] Joseph S.Masangkay: "Theuse of xylazine for the restraint of captive tamaraw(Bubalus mindorensis)." Philippine Journal of Veterinary Medicine. 30. 37-38 (1993)