1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05670218
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
宮本 健司 旭川医科大学, 寄生虫学, 助教授 (30091581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福長 将仁 福山大学, 薬学部・微生物学, 教授 (20132483)
中尾 稔 旭川医科大学, 寄生虫学, 助手 (70155670)
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Keywords | ライム病 / ボレリア・バーグドルフェリー / シュルツェマダニ / 紅斑 |
Research Abstract |
初年度の調査・研究で得られた新知見は、病原体保有動物や病原体媒介者から分離されたボレリアの遺伝子解析(RFLP)からである。それは渡り鳥のアオジやアカハラに寄生していたシュルツェマダニ幼虫から分離したボレリアの約60%以上がB.garinii(II型)と同定され、そのほかIV型(新種?)が見られた。鳥個体からはアオジ20個体を試みたがすべて陰性であったが、1個体のアカハラ皮膚組織からB.gariniiを分離でき、鳥類も病原体保有動物の役割を果たしていることを初めて確認した。一方、エゾアカネズミやミカドネズミに寄生する同幼虫からは、B.gariniiは一例も検出できず、その代わりB.afzelii(III型)、IV型、V型(新種?)が高率に検出された。この現象は、一部重複があるものの、ボレリアの種(遺伝子型)によって伝播経路に相違のあることを示唆するものと考える。このような現象は世界で初めて発見された。 また、北海道のヤマトマダニが保有するB.japonicaは食虫類のトガリネズミが保菌動物であることを特定できて、本種の特異的な伝播経路の存在することが示された。 各分離されたボレリアの病原性を評価するための動物実験に関しては、マウス、シリアンハムスター、スナネズミの腹腔へ感染を試みた。その結果、いずれの動物も感受性はあるが、病原性は4週令の若齢スナネズミへ患者由来株やシュルツェマダニ由来株を腹腔に感染させると後肢の関節の伸展に異状を生じて跛行運動を示すことが確認され、これが肉眼的病原性の指標になると考える。後肢(脛骨・足根骨)関節部の組織学的所見は炎症性細胞の浸潤と滑膜の肥厚が認められる。一方、アカコッコマダニやタヌキマダニ由来株およびB.japonicaの感染実験ではスナネズミの反応は見られなかった。
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