1993 Fiscal Year Annual Research Report
ダニアレルゲンに特異的なT細胞の機能の制御に関する研究
Project/Area Number |
05670409
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
河野 陽一 千葉大学, 医学部, 助教授 (60161882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下条 直樹 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (40221303)
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Keywords | ダニ / T細胞株 / サイトカイン / 健康人 |
Research Abstract |
今年度は、気管支喘息患者と健康人において、(1)ダニアレルゲンに対するT細胞応答の差異、(2)機能分化を誘導するサイトカインに対するT細胞の感受性、の2点について解析を行なった。(1)については、アトピー型気管支喘息患者と非アトピー健康人におけるダニアレルゲンに対するT細胞応答の差異を明かとするため、ダニに対するRASTが強陽性である気管支喘息患者およびダニに対するRASTが陰性の健康人末梢血単核球からダニ抗原特異的T細胞株(Df-TCL)を樹立した。抗原刺激によりこれらのTCLが産生するインターロイキン4(IL-4)とガンマインターフェロン(IFN-γ)をsandwich ELISAにより測定した。その結果、気管支喘息患者由来のDf-TCLのほとんどがIL-4を産生したのに対し、健康人由来のTCLではごく一部がIL-4を産生したのみであり、さらにその産生量も患者由来TCLに比較して有意に低値であった。IFN-γについては、両者とも一部のTCLがほぼ同量のIFN-γを産生し、特に両者の間で差異は認めなかった。以上の結果から、ダニアレルゲンに対するT細胞応答はその産生するサイトカインのパターンにおいて明らかにアトピー患者と健康人の間で異なることが判明した。(2)については、T細胞のIL-4産生細胞への分化を抑制することが知られているIFN-γの存在下に気管支喘息患者および健康人からDf-TCLを樹立し、その産生するサイトカインについて解析した。患者由来TCLではIL-4産生株数は有意に低下したが、IFN-γを産生するTCLは得られなかった。これに対して、健康人由来のTCLはIL-4産生株が認められないのみでなく、IFN-γを産生するTCLが得られた。以上の結果から、気管支喘息患者においてはダニアレルゲンに対するT細胞応答が健康人のそれと異なるのみでなく、免疫調節物質であるサイトカインに対する感受性も異なる可能性が示唆された。
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