1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05670542
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
永田 頌史 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (10108722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 俊男 国立精神, 神経センター国府台病院心身総合診療科, 医長 (90136375)
入江 正洋 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助手 (00248593)
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Keywords | Conditioning / Anaphylaxis / Histamine / Substance P / Guinea Pig / Central nervous system / Respiratory resistance / Asthma |
Research Abstract |
気管支喘息の特徴である気道反応性の亢進状態について、神経性の調設機構における中枢神経系の役割を検討することが本研究の目的である。本年度は、喘息の動物モデルとして卵白アルブミン(OA)で吸入感作したハートレイ系モルモットを用いて実験を行い以下の成績を得た。 1)条件づけによるヒスタミン(H)遊離後6時間目の肺胞洗浄液(BALF)中の細胞分画と肺組織を調べ、条件づけ群では、OA吸入群よりは少ないが対照群よりは有意に多くの好酸球浸潤を認めた。2)前視床下部破壊(AHL)後7日目の感作モルモットにOA吸入誘発を行ったところ、Sham operation群に比較してAHL群では気道反応が弱かった。吸入12分後の血中H値の上昇は、AHL群とSham operation群間で有意差は認められなかったが、6時間後のBALF中の好酸球数は、AHL群の方が有意に少なかった。3)情動ストレスとして16時間の拘束を行った拘束群は、16時間絶食した対照群に比較して、気道反応の程度が強かったが、OA吸入直後の血中H値に有意差はなく6時間後のBALF中の好酸球比率にも有意差は認められなかった。しかし、両群とも無処置対照群のそれより少なかった。4)知覚神経末端のサブスタンスP(SP)を遊離させる作用のあるカプサイシン(0.5〜2mg/kg)皮下投与より、感作モルモットは著明な呼吸困難症状を呈した。16時間後のBALF中の細胞数はカプサイシン投与群は、対照群に比較して有意に多かったが、好酸球の比率は対照群より有意に少なかった。また、免疫電顕で肥満細胞からのH遊離像が認められた。 以上のことより、条件づけによるH遊離に伴って、組織への好酸球潤が起こることが示唆された。前視床下部破壊モルモットでは、抗原吸入後の喘息症状も弱いが、好酸球浸潤も弱いことが明らかになった。また、拘束ストレスによって気道反応は亢進するが、好酸球浸潤群はむしろ無処置群より減少していることがわかった。カプサイシン投与によって肺の肥満細胞からのH遊離やBALF中への細胞浸潤が起こることも明らかになった。結論として、気道反応への神経系の関与の仕方は、今回用いた実験でそれぞれ異なる機序によることが示唆された。
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[Publications] Nagata S et al: "Classical conditioning of anapylaxis" Proceedings of 12th World Congress of Psychosmatic Medicene. 57- (1993)
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[Publications] 永田頌史: "ストレスの仕組み-免疫の立場より" Clinical Neuroscience 別冊. 12. 502-505 (1994)
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[Publications] 永田頌史 他: "ストレス・コーピングと心身症" 脳と精神の医学. 5. 159-167 (1994)
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[Publications] 永田頌史 他: "アレルギーと中枢" アレルギーの領域. 1. 50-55 (1994)
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[Publications] 永田頌史: "気管支喘息の発症機序・病態に応じた心身医学的治療の展開" 心身医学. 35. 17-24 (1995)
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[Publications] 永田頌史: "心身医学" 朝倉書店(末松弘行 編), 9 (1994)
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[Publications] 永田頌史(共著): "「心身症ハンドブック」,精神神経免疫学(担当)" Van Medical(桂載作 編)(印刷中), (1995)