虚血性心疾患における血漿低比重リポ蛋白の変化とその病態生理学的意義

1994 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 05670599
• Research Institution: TOYAMA MEDICAL AND PHARMACEUTICAL UNIVERSITY
• Principal Investigator: 三羽 邦久 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (70166221)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 藤田 正俊 京都大学, 医療技術短期大学部, 教授 (50190046)
• Keywords: 低比重リポ蛋白 / 高比重リポ蛋白 / 冠動脈攣縮 / 異型狭心症 / 脂質過酸化物 / ビタミンE

Research Abstract

正常者と活動期の冠攣縮患者や異型狭心症患者で、冠危険因子を脂質代謝を中心に比較した。活動期の冠攣縮患者では、血中総コレステロール値および低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値は決して高くないが、高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール値、アポ蛋白A-I値は有意に低く、喫煙率は有意に高かった。アポA-I値の低下はHDLコレステロール値の低下より顕著であり、HDLコレステロール中のアポA-I含量は著減しており、HDLコレステロールの量的異常ばかりでなく、質的異常も示唆された。また、活動期の冠攣縮患者のLDLコレステロールは銅イオンによる脂質過酸化物生成量が増加しており、易酸化性の亢進が示唆された。主要な抗酸化物質ビタミンE含量は血中においてもLDLコレステロール中においても有意に減少していた。しかしながら、治療後、狭心発作が完全に消失した時期においては、これら脂質代謝異常、LDLの易酸化性、ビタミンE含量の低下は顕著に改善し、正常者と有意差を認めなくなった。喫煙者率も著減していた。冠動脈攣縮患者の病因に脂質代謝異常とLDLの易酸化性が関係しており、酸化LDLまたは変性LDLの重要な役割が示唆された。以上の結果は、冠動脈硬化、冠動脈攣縮の発症機序の一部を明らかにしたものであり、虚血性心疾患の発症予防および改善に応用できるものと考えられる。

Research Products

• [Publications] 三羽邦久: "異型狭心症の予後に及ぼす禁煙の効果-尿コチニンによる喫煙状況の評価" 臨床薬理の進歩. 14. 131-135 (1993)
• [Publications] Miwa K.: "Auqmentation of smoking cessation education by urinary cotinine measurement" Jepanese Circulation Journal. 57. 775-780 (1993)
• [Publications] Miwa K.: "Importance of magnesium deficiency in alcoholinduced variant angina" The American Journal of Cardiology. 73. 813-816 (1994)
• [Publications] Miwa K.: "Beneficial effects of smoking cessation on the short-term prognosis for variant angina-validation of the smoking status by urinary cotinine measurements" International Journal of Cardiology. 44. 151-156 (1994)
• [Publications] 三羽邦久: "喫煙とHDL-コレステロールの冠攣縮患者の予後に及ぼす影響" 循環器科. 35. 552-555 (1994)
• [Publications] 三羽邦久: "冠攣縮性虚血性心疾患患者の予後とHDLコレステロール値の変動との関連について" Journal of Cardiology. 24. 373-377 (1994)
• [Publications] Miwa K.: "Multiple Risk Factors in Cardiovascular" Churchill Livingstone Japan, 277 (1994)