1995 Fiscal Year Annual Research Report
抗癌剤の血管内皮細胞に対する障害とその防止法に関する研究
Project/Area Number |
05670768
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Research Institution | Fukui Medical School |
Principal Investigator |
林 信成 福井医科大学, 医学部・附属病院, 助教授 (20189658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 学 福井医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (30273014)
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Keywords | 抗癌剤 / 動注療法 / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
昨年までの研究により、抗癌剤ファルモルビシンがNOを介する血管内皮機能を低下させていることが明らかとなった。しかし、生体内においては局所血流はNOばかりでなくさまざまの因子による調節を受けており、臨床の場で経験される変化と結び付けるにはin vitroだけでなくin vivoでの検討が不可欠と考えられた。そこでファルモルビシンをラットにin vivoで投与した後に昨年と同様の方法で内皮NO系の機能を調べた。ファルモルビシンは2mg/kg/dayを7日間腹腔内投与された。7日目に屠殺し、大動脈を取り出してAchおよびSNPに対する弛緩反応を検討した。結果的には本実験系ではAch,SNPに対する弛緩反応の変化は認められず、ファルモルビシンのNO系に対する影響はin vivoでは証明できなかった。屠殺時のファルモルビシン血中濃度は4.3×10^<-8>Mでin vitrooで使用した1×10^<-5>Mと比較してはるかに低濃度であったので、in vitroとin vivoの結果に差があるのはファルモルビシケンの濃度差によると考えられた。実際動注時のファルモルビシン濃度は1×10^<-5>Mよりはるかに高く、臨床で経験される動注療法後の血管変化にNO機能の低下が関連している可能性は十分に考えられる。また本実験の結果からファルモルビシンは低濃度ではNO系に影響しない可能性があるので、抗腫瘍効果の変化も考慮しつつ動注時のファルモルビシン濃度を再考する必要性が示唆された。
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