1994 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫性甲状腺疾患の発症とHTLVウイルスとの関連に関する研究
Project/Area Number |
05670867
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
川井 尚臣 徳島大学, 医学部, 助教授 (00035461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 善彦 徳島大学, 医学部・附属病院, 講師 (30198478)
赤池 雅史 徳島大学, 医学部・附属病院, 助手
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Keywords | 橋本病 / バセドー病 / HTLV-I / HTLV-II / 抗HTLV-I / HTLV-I感染家兎 / HTLV-Iキャリア / HTLV-IIプロウイルス |
Research Abstract |
得られた結果を要約すると以下のごとくである. 1.正常人における抗HTLV-I抗体,HTLV-IIプロウイルスDNAならびに甲状腺自己抗体の検索. 献血者の抗HTLV-I抗体陽性者507名中の40名(7.9%)に抗甲状腺抗体が陽性であり,抗HTLV-I抗体陰性者512名では32名(6.3%)が抗甲状腺抗体陽性であった.そして抗甲状腺抗体陽性者32名中8名(25.0%)に,また,陰性者の28名中4名(14.3%)にそれぞれHTLV-IIプロウイルスDNAが検出された. 2.橋本病およびバセドー病患者における抗HTLV-I抗体の検出,ならびに末梢血白血球DNA中のHTLV-IIプロウイルスDNAの検出とその塩基配列の決定. 橋本病患者144名中9名(6.3%)に抗HTLV-I抗体陽性があり,バセドー病88名では4名(4.5%)が陽性者であった.また白血球中のHTLV-IIプロウイルスDNAをpolおよびtax領域のプライマーを用いてPCR法にて増幅し,橋本病患者33名では17名(51.5%)に,バセドー病患者17名では2名(11.7%)に増幅DNAが認められた.そのPCR産物の塩基配列は両疾患それぞれ1例で調べ,橋本病患者ではtax領域の3カ所(nt.7090,7129,7147)に差異が認められ(変異率:0.8%),バセドー病患者ではpol領域(nt.3557),tax領域(nt.7114)のそれぞれ1カ所に差異が認められた(変異率:0.5%). 3.橋本病患者の甲状腺組織におけるHTLV-IおよびHTLV-IIウイルスの検索. 生検甲状腺組織(2例)を用い,上記のウイルスmRNAをin situ hybridizationにより,またウイルス蛋白を免疫組織化学的に検索し,濾胞上皮細胞中にHTLV-I mRNAおよびウイルス蛋白質を証明した. 4.HTLV感染性甲状腺疾患モデルの作製. 家兎に人のHTLV-Iキャリアの全血を静脈内注射(0.2〜0.5ml)して5羽の家兎に感染させHTLV-I感染家兎を作製した.これらの家兎の甲状腺機能(FT_3,FT_4,TSH)および抗甲状腺抗体を経過を追って調べている. 以上の成績より自己免疫性甲状腺疾患の発症にはHTLV-IおよびHTLV-IIの関与が示唆される.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yokoi,K.,Kawai,H.et al.: "Presence of human L-lymphotropic virus type II-releated genes in DNA of peripheral leukocytes from patients with autoimmune thyroid diseases." J.Med.Virol.(in press). (1995)
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[Publications] Kawai,H.Yokoi,K.et al.: "Graves disease in HTLV-I carriers." J.Mol.Med.(in press). (1995)