1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05670937
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
木村 のぶ宏 福岡大学, 医学部・第1内科, 講師 (40136445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 昌弘 福岡大学, 医学部・第1病理, 教授 (80078774)
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Keywords | T幹細胞 / DDJδ / cyCD3 |
Research Abstract |
リンパ性幹細胞性造血悪性腫瘍と考えられる16例のCD7陽性幹細胞性白血病と鼻腔原発悪性リンパ腫症例9例を免疫関連遺伝子とくにTcRδ遺伝子を解析した。5年度では、TcRδ遺伝子の特殊な再構成様式DDJδが高頻度に生じていること・細胞質内CD3εよりもより未熟幹細胞レベルでDDJδが起こつている事を報告した。この結果よりTcRδ鎖再構成は、T細胞系ではDD→DDJ→VDDJの順におこる事、DDJ再構成は幹細胞レベルでのT細胞系で最初の唯一のマーカーである事などが判明した。 明らかに臨床像に特徴ある前胸線細胞由来の腫瘍と思われ一の疾患単位が5/16の症例を存在する事を報告し、それを前胸線細胞性リンパ腫と提言している。リンパ系/骨髄系共通幹細胞(T/M,T/B/M)での異常と思われる。発症時は、末梢血に幼若悪性細胞の出現なく、幼若T細胞系以外の形質は認めず、再発時は急性骨髄性の白血病が起こり化学療法も効かずに死亡する。この群にたいする治療は、最初から造血幹細胞移植以外に方法はないように思われた。 鼻腔原発悪性リンパ腫はこれまでT細胞系と考えられていたが、TcRδ鎖やB鎖再構成がなく、一例を除き全てNK細胞由来のリンパ腫と判明した。この腫瘍細胞には全ての症例でEBウイルスgenomeのintegrationが単一性にみられ既感染型であつた。NK系でも細胞質内CD3ε陽性を示す胎児型が多く見られた。NK細胞とT細胞との共通幹細胞の存在を示唆されている。 以上の結果から、これまでTcRδ鎖ではDDやV2Dが最も早期に再構成して、Bリンパ性ALLにも高頻度に起こつている事等が報告され、TcRδ鎖の再構成パターンでは幼若リンパ球のT/B鑑別は不可能と考えられていた。しかしながら、今回の検討によりδ鎖のDDJ再構成はT幹細胞レベルでも最も早期に生じうることが判明し,幹細胞レベルでのT系判定に唯一のマーカーになり得ることが判明した。今後、殆ど不明であつたリンパ系幹細胞の研究が大いに進展するものと思われた。
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[Publications] Suzumiya J.,Takeshita M.,Kimura N.: "Expression of adult and fetal natural killer cell markers in sinonasal lymphomas" Blood. 83(8). 2255-2260 (1994)
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[Publications] Yoshida T.,Suzumiya J.,Katakami H.,Kimura N.: "Hypercalcemia caused by PTH-rp associated with metastasis from the urinary bladder carcinoma;An autopsied case" J Internal Med. 33(11). 673-676 (1994)
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[Publications] Shimamoto T.,Olyashiki JH.,Ohyashiki K.Kawakubo K.,Kimura N.: "GATA-1,GATA-2,and stem cell Ieukemia gene expression in acutemyeloid Ieukemia" Leukemia. 8(7). 1176-1180 (1994)
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[Publications] Ohshima K.,Masuda Y.,Kikuchi M.,Sumiyoshi Y.,Kobari S.,Yoneda S.,Takeshita M.,Kimura N.: "Monolonal B cells and restricted oligoclonal T cells in T-cell rich B-cell Iymphoma" Pathol Res Pract. 190. 15-24 (1994)
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[Publications] Kimura N.,Akiyoshi T.,Uchida T.20GB05:High prevalence of T-cell receptor D82(DS)JS rearrangement in CD.7-positivestem cell Ieukemia/Iymphoma: (発表予定).
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[Publications] Kimura N.,Akiyoshi T.,Nishimura J.: "Clinical,Immunophenotypic and immunogenotypic Characteristics of T-presursonlymphoma without circulating blast cells:High prevalence of trasformation to mixed lineagetypecs" (発表予定).