1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05670979
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井川 浩晴 北海道大学, 医学部, 助手 (10232159)
|
Keywords | 胎児外科 / レーザー / 創傷治癒 |
Research Abstract |
妊娠14日のScl:ICRマウスをネンブタール腹腔内麻酔下に開腹、手術用顕微鏡下に子宮を切開し、胎仔の鼻・上口唇に、アルゴン・レーザーを2ワット、1秒で3回照射した。漏出した羊水の代わりに温めた乳酸リンゲル液を注入した後、子宮を手術用顕微鏡下に10-0ナイロン糸で縫合、閉腹した。術後1、2、4日で胎児を回収し、創部を肉眼的、組織学的に検索した。 術後1日:周囲に出血斑を伴う広範な組織障害が肉眼的に観察された。組織学的には、著しい壊死、出血が認められた。炎症性細胞浸潤はリンパ球様の単核細胞を主体としていた。 術後2日:肉眼的には創部の範囲は縮小していた。組織学的には、壊死組織の上を再生表皮が伸張している像が観察された。炎症性細胞浸潤は減少しており、線維芽細胞様の間葉細胞の増生と毛細血管の新生が認められた。 術後4日:肉眼的には創部はわずかな変形を残し、完全に治癒していた。組織学的には、表皮形成は完了しており、真皮構築は比較的良好であった。 レーザー照射後の組織障害が広くかつ深かったにもかかわらず、再生された表皮と真皮は比較的良好な構築を示していた。また、炎症性細胞浸潤がリンパ球様の単核細胞を主体としていること、再生表皮が壊死組織の下ではなく上を伸張すること等、胎児に特異的と思われる特徴的な所見を見い出すことができた。 今後、さらに長期の観察を行い、また、細胞外基質等についても検索を進めたい。
|