1993 Fiscal Year Annual Research Report
急性膵炎の膵実質壊死に対するアルブミンの阻止効果-実験的研究並びに臨床応用-
Project/Area Number |
05671048
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 理 東京大学, 医学部(病), 助手 (00169947)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二川 憲昭 東京大学, 医学部(病), 医員
大谷 泰一 東京大学, 医学部(病), 医員
|
Keywords | 重症急性膵炎 / アルブミン / 脂肪壊死 / 画像解析装置 |
Research Abstract |
我々は,重症急性膵炎の有効な治療をめざし,種々の薬剤を用いた実験的検討を行ってきた.本研究では,膵実質障害を引き起こす遊離脂肪酸やリゾレシチンの有力な阻害物質であるアルブミンの効果をみる実験を,closed duodenal loop(CDL)(+caerulein)を用いたラットのin vivo膵炎モデルにより施行している.すなわち,2cmのCDL作成時にloop内に生食(コントロール),アルブミン(5,10,20% wt/vol)を1ml/kg投与し,24時間後に屠殺した.1. 血清のアミラーゼ値に各群間の有意差はみられなかった. 2. 腹腔内における脂肪壊死の肉眼的な広がりをscore化して比較したところ,20%アルブミン投与群では後腹膜および大網の脂肪織壊死が,10%アルブミン投与群では腸間膜の脂肪織壊死が,また5%アルブミン投与群では大網および精巣上体の脂肪織壊死が,コントロール群に比べ軽度になる傾向が認められた.3. 実質壊死については画像解析装置を用い,組織切片を検討中である. また,ラット膵還流実験では,大動脈から還流液(HEPES-Ringer,1.3ml/min)で膵を持続的に還流し,3分おきの門脈回収液中の膵酵素濃度を膵障害指標とした.主膵管からタウロコール酸(1% wt/vol)注入したところ,デキストラン70(コントロール)によって還流したコントロール群とこれにurinary trypsin inhibitor(UTI)を加えて還流した群では,1. 門脈液中の膵酵素濃度に差はみられなかった,2. しかし,画像解析装置による組織学的壊死の広がりは,コントロール群に比較してUTI群で有意に減少した. 今後,慢性膵炎の急性増悪モデルと考えられるWEB/KOBラット(慢性膵炎ラット)を用い,さらに検討していく予定である.
|