Research Abstract |
肝癌症例に対するOK-432肝動注による腫瘍局所への抗腫瘍細胞誘導を実証するため,肝細胞癌新鮮切除標本から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を採取し,その抗腫瘍能を検討した。 <対象と方法> 肝細胞癌10例を対象とし,これを術前無処置群5例と術前OK-432投与群5例に分け(1)両群のTIL採取数を比較し,さらにK-562細胞,Raji細胞を標的細胞とする^<51>Cr release assayにより,TILの腫瘍細胞障害活性を(2)TIL採取直後と(3)IL-2 50U/mlとの5日間培養後の2ポイントで測定した。また,(4)TILのphenotypeを採取直後にflow cytometryを用いて,CD3,CD4,CD8,CD16,CD25,HLA-DRについて測定した。OK-432は手術7日前の血管造影時,10KEを生食3mlに溶解してこれをリピオドール2mlと懸濁後,肝動注した。 <結果> TIL採取数は無処置群,OK投与群でそれぞれ(1.2±1.9)×10^5/g,(4.0±1.2)×10^5/gであった.(2)TIL採取直後のK562,Raji細胞に対する障害活性は無処置群(0.6±0.9%,0.0%),OK投与群(0.8±0.8%,0.0%)であった.(3)IL-2培養後ではK562,Raji細胞に対する障害活性は無処置群(1.6±1.3%,1.5±1.4%),OK投与群では(16.5±8.4%,10.1±1.4%)であった.(4)Phenotypeの比較では無処置群(CD3:59.0±14.8%,CD4:47.1±21.5%,CD8:8.6±2.8%,CD25:2.2±0.5%)に対し,OK投与群(CD3:82.1±6.9%,CD4:70.0±8.8%,CD8:14.6±0.5%,CD25:18.8±1.0%)とTリンパ球の集積傾向とIL-2レセプター陽性細胞の有意の集積を認めた. <まとめ> OK-432投与により肝癌局所へIL-2レセプター優位のTリンパ球誘導が示され,これにin vitroでIL-2を加えることによりLAK活性を持つことが認められた.以上からOK-432とIL-2を併用投与すれば生体内でLAK細胞が誘導される可能性が示唆され,今後,期待される治療法と考えられた.
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