1993 Fiscal Year Annual Research Report
大腸腺腫・癌における遺伝子異常と組織学的異型度の関係について
Project/Area Number |
05671083
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
小西 文雄 自治医科大学, 医学部, 助教授 (20142242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 一成 自治医科大学, 医学部, 助手 (90217331)
柏木 宏 自治医科大学, 医学部, 助手 (30204382)
山下 圭輔 自治医科大学, 医学部, 助手 (90239963)
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Keywords | 大腸癌 / 大腸腺腫瘍 / Ki-RAS point mutaion / 表面型大腸腫瘍 |
Research Abstract |
Ki-RAS2codon12の点突然変異の有無を、進行癌と表面型大腸腫瘍を対象に検索して比較した。検索の方法としては、従来のRi法と異なるnon-Rl dot blot hybridization法を用いた。対象は大腸進行癌28例と表面型大腸癌9例である。フォルマリン固定パラフィンブロック標本より、厚さ4マイクロメートルの切片を1枚作成しHE染色後、隣接する厚さ10マイクロメートルの切片をHematoxylinのみで染色した後病変部分を拡大鏡下でくり抜き、脱パラ後Ki-RAS codon 12のPCRを40サイクル施行した。 進行大腸癌28例中8例の29%に点突然変異が見られた。表面型大腸癌は、Ha型の境界病変1例に点突然変異が認められたが、その他の8例においては点突然変異は認められず、点突然変異の頻度は11%と低率であった。 本研究においては、大腸癌の発生過程においてadenoma-carcionoma sequenceとは異なった発生過程の存在を考えさせる表面型大腸癌を対象としてKi-RAS codon 12の点突然変異を検索した。対照として通常の大腸進行癌を同様に検索して比較検討した。 本研究において、Ki-RAS codon 12の点突然変異の検索方法としては従来から行われていたRlを用いる方法とは異なり、diqoxiqeninを用いることによってRl法における煩雑な点を改善することが出来た。Ki-RAS point mutation検索の結果、進行癌では23例中7例(30%)の陽性率であるのに対して、表面型大腸癌では9例中例(11%)と低い陽性率を示した。以上より、表面型大腸癌ではKi-RAS point mutation発癌の過程に関与していない可能性が示唆される。今後、隆起型の大腸早期癌を多少として同様の検討を行い、表面型癌との比較を行うことによって表面型大腸癌の発癌過程の特徴をさらに明確にする方針である。
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