1995 Fiscal Year Annual Research Report
生体環境における細胞増殖因子の人工血管内皮化に与える影響
Project/Area Number |
05671106
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
内田 直樹 東北大学, 医学部・付属病院, 講師 (70241635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田林 晄一 東北大学, 医学部, 教授 (90142942)
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Keywords | 小口径人工血管 / 人工血管内皮化 / 細胞増殖因子 |
Research Abstract |
小口径人工血管の開存性を向上させるための内皮化に対して、現在までの臨床結果からは植え込み後に起こる通常の異物組織化反応だけでは、広い血液接触面には不十分であるといえる。そこでより積極的に移植前にこれら細胞増殖因子やその産生細胞を人工血管に吸着または粘着させておけば早期の内皮化が期待できると考える。本研究では人工血管にあらかじめ細胞増殖因子を吸着させておき、動物に移植しその生体内反応を観察することを目的とした。市販の人工血管は本研究に向かないことがわかったため、house-madeの人工血管を作成した。グルタールアルデヒドなどの生体毒性を持つ物質の使用をさけるため、n-hexanoyl-chitosan gelの使用を意図し、これで内面を被覆した内径3mmのカルディオマット人工血管を作成した。この人工血管は使用まで70%エタノール溶液に浸積保存した。ゲル被覆人工血管をリン酸緩衝液で洗浄したあと、Acidic fibroblast growth factor, bovine(Upstate biotechnology Inc, USA)溶液に1時間浸積し、ゲルに浸透させた。体重2.5-2.9Kgの家兎をケタラール静注麻酔し、2%ハロセンの吸入麻酔にて維持した。腹部正中切開または左側腹部切開により開腹し、腎動脈以下の腹部大動脈を露出した。最初の6羽には腹部大動脈に吻合しようとしたが、大動脈径が1.5-2mmと極めて細かく手技的に困難で失敗した。下大静脈は3-4mmと太いためこれに吻合しようとしたが壁が薄くまた脆弱で吻合できなかった。このため期間内での動物実験による評価は失敗した。今後は本人工血管の雑種成犬を用いて頚動脈への移植実験をおこなえば生体環境下での細胞増殖因子の影響を検討できるであろう。
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